長尾和宏先生のアリセプト少量療法が有効という治験の結果からのエビデンスの証明の真似事をしてみました。長尾先生にメールしました。
						 添付したグラフは聖路加国際病院の能登洋先生の著書「糖尿病診療のエビデンス」日経メディカル 2015.08.03発行36頁に載っているお墨付きのkumamoto studyのエビデンスです。
						 能登先生のコメント。
						 「血糖コントロールを厳格にするほど網膜症や腎症の進行が抑えられることが、試験結果から明らかになった。」「HbA1cを、7.0%未満にコントロールしても、それ以上のリスク低下はほとんどない。」とあります。このグラフのリスク2倍やリスクが上がる変曲点の数値を読んでみました。
						 *変曲点は、リスクが少し上がるところではなく、はっきり上がる辺りを読みました。(少し上がるところはこのグラフからは分かりません。)
						
						網膜症
							
								
									|   | 
									変曲点(アバウト)* | 
									リスク2倍 | 
								
								
									| HbA1c | 
									8 | 
									9 | 
								
								
									| 空腹時血糖 | 
									130 | 
									147 | 
								
								
									| 食後2時間血糖 | 
									210 | 
									230 | 
								
							
						
						
						
							腎症
							
								
									|   | 
									変曲点(アバウト) | 
									リスク2倍 | 
								
								
									| HbA1c | 
									8 | 
									9 | 
								
								
									| 空腹時血糖 | 
									130 | 
									140 | 
								
								
									| 食後2時間血糖 | 
									190 | 
									215 | 
								
							
						
						 HbA1c (が表現している過去1か月2か月程度の平均血糖値)は、かなり高めでもリスクは上がりません。
						 HbA1cで糖尿病のコントロールをするとして、HbA1c8で良いならば、(7.4としても)、通常は食餌・運動でコントロール可能な範囲内です。
						 つまり薬物療法は要りません。
						 ACCORD試験で厳格な血糖コントロールが予後(生存率)を下げました。
						 kumamoto studyを平たく読めば、「余計な事」「過剰な治療」による低血糖の影響が大きいのでしょう。
						 HbA1cで、糖尿病のコントロールが出来ないことは、kumamoto studyやACCORD研究という信頼性が高いと信じられている厳格な研究から得られたエビデンスから明らかではないでしょうか?
						 診断基準やガイドラインにHBbA1cが含まれている事が糖尿病治療の迷走を招いていると思います。
						 HbA1cに意味があるのは、10以上という高値の場合や、マススクリーニングに限られていて糖尿病のコントロールでは有害無益だと思います。スクリーニングとしては、大部分は尿糖で代用可能です。
						 GAはHbA1cよりはマシで実用性もありはしますが、所詮リスクそのものを測っている訳ではありませんので、注意が必要です。
						 というような結果になりました。