コールドスプレーによる凍傷


 症例1
 50歳女性。5月18日に転倒して右足首を捻挫し,知人がコールドスプレーで長い時間をかけて冷やしてくれ,その後,整形外科クリニックを受診し,テーピングをしてもらった。2日後に自分でテープを剥がしてみると皮膚が剥げて傷になったため,近くの皮膚科クリニックを受診し,アズノール軟膏を処方された。

 その後,捻挫で最初に診察してくれた整形外科クリニックを受診したが,整形外科医より「ガーゼと軟膏の治療は正しい治療ではない」と説明され,ハイドロコロイド被覆材を張ってくれた。
 治療に不安になり,インターネットで検索し,当科を受診した。

 当科では実際の治療例を提示し,湿潤治療の原理について説明し,プラスモイスト(R)で創面を被覆した。
 5日でほぼ上皮化が得られ,2週間後にはほとんど目立たなくなった。

5月22日(初診時) 5月24日

5月27日 6月4日


 症例2
 35歳男性。10日前にテニスをしていてて左下腿に肉離れが起きた。直ちに長い時間,コールドスプレーで冷却した。翌日から腫れがひどくなり,数日後,近くの皮膚科を受診し,凍傷と診断されてフシジンレオ軟膏を処方されたが,ガーゼが創部にくっついて痛みがひどいため,治療について検索し,当科を受診。

受傷から10日目の状態。


 症例3
 16歳男性。2009年4月11日,右足を捻挫して長時間コールドスプレーをかkた。翌日,胴部に水疱ができたため,近くの皮膚科クリニックを受診し,凍傷と診断され,「消毒とユーパスタとガーゼ」の治療を受けた。その後,傷が次第に深くなり,皮膚移植が必要と言われた。
 父親の兄が医師をしていて,日経メディカルに掲載された私の記事を読んだことを思い出し当科受診を薦め,5月18日(受傷から50日後)に当科を受診した。当科ではプラスモイスト(R)で治療したが,善意の治療により創面全体が全層壊死の状態で乾燥していたため,完治までに数ヶ月を要した。
 ちなみに,患者さんは高校2年制だったが,当科での治療を受けたことを機に医学部進学を決心し,猛勉強を始めたそうである。

初診時(5月18日)の状態

(2013/07/31)

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