以前,プロコフィエフの「第7ソナタのフィナーレ」の指使いの工夫を紹介しました。下の譜例の部分です。
中間部で右手の連打が延々と続く部分で,右手を楽譜通りに演奏するのは私にはちょっと無理。そこで,上の譜例のように音を足しちゃいました。すると,[3] と [5] の同音連打となり,これに [1] が移動するだけとなるため,演奏は極めて容易になります。もちろん,和声的には全く問題なし。
そこで,最終ページにも手を出しました。両手の大跳躍が2ページに渡って連続するこの曲の最大に見せ場にして最大の難所です。
問題は上の譜例2小節目の2拍目の「左手の嬰ハ」を外しやすいこと。外さないように注意すると
(いわゆる「置きにいく」ってやつね),強いアクセントで弾けません。この曲は,主部で暴君の命令のように響く「2拍目の低音の嬰ハ」の傍若無人さが魅力なんですが,多分,「外すのを恐れずに暴君のようなアクセントを付けて弾く」ことが必要と思われます。そこで,いろんな指使いで弾いてみましたが,どれも私には合いません。
そこで,右手はそのままに,左手だけオクターブ和音にしてみました。すると,一気に迫力が増してメリハリが付きました。しかも,オクターブ和音にした方が断然弾きやすく,何より音を外すことがないので,思う存分強いアクセントを付けられます。