新しい創傷治療:リビング・ブラッド

《リビング・ブラッド "Shallow Ground"★★(2004年,アメリカ)


 映像的にはやたらと力が入れまくって作っているけどストーリー的には破綻しまくっているというホラー映画です。冒頭から30分くらいまでは「おお、これは面白いかも」という感じでしたが、その後は無理矢理な展開が続き、連続殺人犯の正体が明かされると「おいおい、こいつって誰なんだよ」となります。クズ映画ではありませんが、積極的に誉めるほどでもない、という感じですね。

 ちなみに、監督は《鳥》でない《烏》のシェルトン・ウィルソンです。《烏》も映像的には部分的に見事ですが、後半になればなるほどストーリーが破綻しかかっていましたから、そういう映画作りしかできない人なのかもしれません。


 舞台はアメリカの山奥の田舎。その森では何人もの人間が行方不明になるという事件が起きていて、保安官のジャックの恋人も失踪しています。しかし、ダムが造られて町がダム湖の底に沈むことになっていて、住民の移住が始まっていて、失踪事件未解決のまま保安官事務所も閉鎖が近づいています。

 そんなある日、保安官たちの前に全裸で全身血塗れの少年が森から姿を現します。ジャックたちは少年を捕らえますが、彼は一言も言葉を発せず正体は不明です。しかし、彼の血液を採血して調べると少なくとも3人の血液が検出され、おまけに1年以上古い血液も含まれていました。さらに、彼の両手指採取した指紋を照合すると、それはなんと10人の失踪者の指紋と一致したのです。そればかりか、その少年の血液に触れたジャックは殺人の犠牲者の幻覚を見ます。脳裏に浮かんだのはこの森で行方不明になった人々が殺される様子でした。

 そして、不思議な事件が次々と起こり、やがてその少年の正体が明らかになり、恐るべき事件の真相が・・・という映画です。


 この血塗れ少年の姿はインパクト強烈です。こいつが画面に登場するたびに、画面から血の臭いが漂ってきて、口の中に鉄臭い血の味が蘇ってくる感じがします。スプラッター映画によくあるように血がドバドバと吹き出したり飛び散ったりするわけではなく、眼瞼とか耳とか首からジワジワ・ポタポタと流れてくるのですが、これが妙にリアルで怖いです。しかも、その血液が静かに忍び寄ってくる様子は軟体動物みたいで気色悪いです。

 そして、後半に登場する「死体陳列室(?)」の死体さんたちの様子・形相がこれまたすごいです。いかにも「程良く(?)腐りかけています」という感じで、これまた絶妙に(?)リアルです。このあたりの映像センスは見事といっていいでしょう。


 問題は、この映画の構造というかストーリーが非常にわかりにくい点です。つまり、血塗れ少年を中心とするオカルティックな前半部分と、連続失踪事件の真相が明かされるミステリー仕立ての後半部分がうまく繋がっていないというか、全く別個の物語にしか思えないのです。というか、後半になって失踪事件の真犯人に迫る展開になると、見ている方は「えっ? この映画って血塗れ少年の正体でなく、失踪事件を解決する映画だったの?」と呆気に取られました。

 多分、血塗れ少年の正体とか彼の行動を中心にしたオカルト系ホラー映画にするか、あるいは、町がダムに沈むまでにシリアルキラーの犯人を探せるかというタイムリミット型サスペンス映画にした方がよかったような気がします。ま、要するに、二兎追うものは一兎をも得ず、という典型例ですね。ホラーもオカルトもサスペンスも親子の情愛も・・・と盛り込みすぎ映画の欠点が如実に出てしまったようです。

 ちなみに、この血塗れ少年は森で殺された犠牲者の怨念(?)が具現化したもののようで(・・・多分)、保安官たちを連続殺人の真犯人に導くのが彼の目的だったようです。しかし、どうせ最後には自分の手で犯人を殺すわけですから、保安官を巻き込むなんて面倒なことはせずに、最初から犯人を殺せばよかったような気がします。だって、犠牲者には犯人が分かっているわけですから、そもそも犯人を捜す必要はないからです。


 それにしても、真犯人が○○というのも強引すぎます。「あれ? こいつ、誰だっけ?」という感じで、慌ててDVDを巻き戻しちゃいましたよ。それほど、印象が薄い人物です。しかも、「そういえば、このシーンでのこいつの行動は伏線だったのか」という部分もなければ、「もしかしたら、こいつが怪しいんじゃないの?」と思わせる言動もありません。単なるその他大勢の一人でしかない登場人物ですが、そんなのを「実はこいつが犯人でした」って言われても困っちゃうんだよね。少なくともサスペンス映画だったら、「こいつは誰?」という人物を犯人にすべきじゃないと思います。

 それと、何度か「裸で木に吊り下げられたお姉ちゃん」の映像が何度か繰り返され、そっちの趣味の人には必見と思われますが、映画のストーリーの本筋にはほとんど関係ないし、なくてもいいシーンです。個人的には、この裸のお姉ちゃんたちはなくてもよかったかなと思います。


 というわけで、エグくてグロい映像がある映画なら何でもいい、裸のお姉ちゃんが吊り下げられていたら尚よし、という人にだけオススメとしておきましょう。それ以外の人には見るだけ時間の無駄でしょう。

(2010/12/30)

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