1歳3ヶ月女。東京都西部。
2018年10月7日,母親が使い終わったテーブルに乗せていたヘアアイロンを握ってやけど。〇〇病院救急室を受診。以後,同院皮膚科に通院し,軟膏ガーゼで治療。父方の祖母が看護師で,湿潤治療のことを教えてくれたため,ネットで検索。
10月12日,当院受診。No Mans Landにかかる3度熱のため,年齢を考えて瘢痕拘縮の発生は避けられないと判断し,両親にもその旨を説明。ズイコウパッドで創部を被覆し,用手的に指を伸ばすように両親に指導。1ヶ月弱で上皮化が得られたが,中指に瘢痕拘縮を生じ,手の外科専門医のいる病院に紹介状作成。
10月12日 | 10月15日 | 10月19日 |
10月23日 | 10月31日 | 11月6日 |
11月12日 | 11月20日 |
3年ぶりに受診。ご両親によると,現在も△△大学◇◇病院形成外科に半年に一度のペースで通院中とのことだったが,2018年12月には数ヶ月以内に手術をしましょう,と説明されたが,その間に拘縮は悪化するどころか改善していったため,とりあえず経過観察となったようだ。
実際,中指には瘢痕拘縮は認められるがほぼフルに伸展でき,特に不自由なく遊んでいるようだし,鉄棒もボール遊びも得意です,とのことだった。
大学病院形成外科の医師は診察するたびに,「2018年10月の状態でここまで軽度の拘縮で済んでいる例は見たことがない。しかも,診察するたびに指が伸びていくなんていまだに信じられない」と話しているようだ。
「皮膚移植をして指を伸ばす手術を提案されているが,これは必要でしょうか?」との質問があり,「私なら絶対に植皮はしない。移植皮膚は必ず縮み,いずれ再手術が必要になる。Z形成術で指は簡単に伸びるようになるし,これは再手術は必要ない治療法だ。もう少し大きくなるまで待てるなら,局所麻酔で手術でき,このクリニックでも治療できる」と説明した。
2021年9月29日 1083日後 |