72歳男性。
 8月22日,知人宅の犬に両手を噛まれ,直ちに当科を受診。次のように治療した。

  1. 水道水で濡らしたガーゼで創周囲の汚れ・血液を拭き取る(創洗浄も創内洗浄もしない)
  2. ゾンデで創の方向と深さを診察(痛みを与えないように細心の注意を払って行うので局麻は不要)
  3. ナイロン糸ドレナージ
  4. その上はプラスモイスト(R)で被覆
  5. 抗生剤処方。破傷風トキソイド投与。
  6. 翌日診察し,痛みがなく発赤もなければドレナージは終了。プラスモイストのドレッシングのみとする

【右母指,母指球】

8月22日 ドレナージ 8月23日
8月28日 9月4日

【左母指球】

8月22日 ドレナージ 8月23日
8月28日 9月4日

【左母指背側,手背撓側】

8月22日 8月22日 8月23日
8月26日 8月28日


 よく,槽洗浄をしないと感染が起こると考えているのか,アライグマのように傷を洗う先生がいるが,ここにも書いたように「創洗浄は本質的に不要」である。創感染の予防の基本はドレナージであって,洗浄が果たす役割は極めて低いと考えている。
 もしも,創内が異物などで汚染されている場合には,局所麻酔をきちんとして痛みをとってから洗浄すべきである。麻酔もしないで創内を洗うのは野蛮な医療,唾棄すべき医療である。

【アドレス:http://www.wound-treatment.jp/next/case/hikari/case/484/index.htm】

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