1歳3ヶ月男児。
 4月4日,炊飯器の蒸気で右手に熱傷。自宅近くの〇〇医療センター形成外科を受診し,以後通院治療を受けている。
 「手術が必要」という主治医の説明に不安になり,ネットで湿潤治療を知り,受傷から13日後に当科を受診した。
 当科初診時,右中指,環指,小指の基節部〜中節部掌側の熱傷潰瘍を認めた。プラスモイスト(R)で治療を行ったが,瘢痕拘縮による伸展障害が認められたため,自宅から通院可能な▼▼病院形成外科に紹介した。

4月17日 4月20日 4月24日

5月1日 5月8日
中指MP関節部に瘢痕拘縮あり
5月22日

6月26日
中指,環指に瘢痕拘縮あり

 1歳6ヶ月より幼い乳幼児の掌側熱傷は,瘢痕拘縮必発と考えたほうがいいです。少数の例外を除き,ほとんどの例で瘢痕拘縮が発生し,二次的な手術(瘢痕拘縮形成術+皮膚移植)が必要になります。

 これを防ぐためには,乳幼児のいる家庭では炊飯器を使わない,もしも使うとしたら子どもが絶対に手の届かない場所に炊飯器を置かなければいけません。やけどしてからでは遅いのです。

 極論すれば,炊飯器が全てスチームレスにでもならない限り,炊きたての米の飯に固執するなら,このような熱傷は発生し続け,手指の瘢痕拘縮も必ず発生します。小さな子供さんのいる家庭では,米の飯を食うことが子供の安全より大切かどうか,一度真剣に考えたほうがいいです。

【アドレス:http://www.wound-treatment.jp/next/case/hikari/case/019/index.htm】

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