メッシュラップについて(投稿)


 鳥谷部先生が考案されたOpWT(穴あきポリ袋+紙おむつ)は実に素晴らしい褥瘡治療法ですが,唯一の難点は穴あきポリ袋がちょっと入手しにくいことです。それを解決するために,さくらいクリニックの桜井孝先生が「メッシュラップを使った被覆材料」を考案なさっておられます(ちなみに桜井先生は 『大往生なんか、せんでもええやん! 』 の著者です)
 それに対し,当科外来通院中の 「広範囲V度熱傷@F君」 がさまざまなメッシュラップ製品を購入して,自分の創面(右上腕と前腕)を実験台にして,その特性と使い方のコツをまとめてくれました。彼はもともと化学専攻というだけあって,実に見事なレポートになっています。


 あくまでも個人の感想です。なので、人によって違ったりするかもしれません。素人が書いているので至らない点もあると思います。

 たまたま家にあったので使ってみたのですが、以前に桜井クリニックの桜井隆医師が「メッシュラップ」として考案されているようです。

【材料】
  1. 【のびる水切り袋】
    水切り袋は色々なメーカーで出されているようですが,元のメーカーは多分,日本サニパックかジャパックスだと思います。
    • のびーるソフト水きり袋(日本サニパック)
    • のびるタイプ水切り袋(レック)
    • のびる水切り袋(レック)
    • のびる水切り袋(セブンプレミアム)
    • のびーるソフト素材水切り袋(エムズワン/ツルハドラッグ)
     
  2. 【吸収材】
    • 浸出液の量によって適当なものを選べばよいと思いますが,ペットシーツの場合、なるべくシンプルな物の方が良いと思います。
    • 抗菌剤、銀化合物が入っているのは避けたほうがよい?
    • 量が要らない場合は100均なら枚数少ないものがあります(品質はわからないが)。 大きいものが必要だけれどペットシーツでは抵抗ある場合は平型のおむつや、処置用の 吸水防水シートがあるのでそちらを使えばよいと思う(価格はかなり上がる)
    • ペットシーツは色々あるのでどれがいいのか正直分かりませんが、もともと切って使うことが想定されていないので、切ると粉の多いもの、ほとんど出ないものなどがあるようです。ポリマーを使用していないものなどがあるようです。
    • プラスモイストのように切りっぱなしにできるのがあれば作成が楽になるのですが、そういうものは見つかってないです。
     
  3. 【ハンドシーラー】
     上記の水切り袋はサイズが限られているので大きなドレッシングは作れませんでしたがシーラーで溶着してつなげることによってサイズを大きくすることが出来ます。うまくいかなくても安いので財布が痛まないというのとサイズ制限がないという理由ではんだごて型のシーラーを使っています。白光 ビニレイド コテ先ローラー型 No.305(HOZANでも出していたような…)<br>
     直接あてると袋がくっついてしまうのでセロファンを上に当てて使用します。
     セロファンは色がついてても大丈夫のですが見にくいので無色のセロファンがよいです。下には熱に強いものを敷いてください。ご覧のとおり一切安全装置がないので火傷には注意です。火傷の治療用のドレッシングを作って火傷したという事態になります(笑)。
     溶着して大きくするのはいいけれど角が当って痛くないのかと思われると思いますが、角を吸収材側に折り込むようにすれば大丈夫だと思います。
     あとはOpWTや短冊カット・ポリ袋ドレッシングと同様に患部に合わせて加工すれば大丈夫です。
     患部が上肢(二の腕)なのと肩は無事だったので腕に輪になるように巻いて肩で止めるようにしました。ペットシーツの場合表面は不織布がほとんどなので水切り袋とシーツを直接溶着出来ます(接着強度は確認してください)。実際にシーツに溶着して使用しています。切断面はふさいでいます。
     
【使用感】
 メッシュ状なので当然ドライ気味になります。浸出液に量により吸収材側で調整するか、水切り袋を2枚重ねる、プラスモイストTOPを貼るなど適宜調整してください。
 くっつくこともあるので注意です(300日中3,4回)。ワセリンを塗布して使うとよいかもしれません。プラスモイストTOPの節約のための2次ドレッシングとしてもつかえるかもです。

 つけた感じは見た目よりもソフトな印象です。以前は短冊カット・ポリ袋ドレッシングを使用していましたが、切り込みが傷に当たっているようで傷みがあり動かすとチクチクする傷みがありました。(部位と治り具合と個人差があると思いますが)
 これに変えてからはチクチクする痛みはなくなりました。蒸れはほとんどないです。痒みは多少あります。肉芽の状態は短冊カット・ポリ袋ドレッシングと大差ないと思います。
 やはりプラスモイストには及びません。

 自分の場合は色々試してこれになりましたが、各被覆材で特徴や欠点があるので適切に使い分けすればよいのではないかと思います。水切り袋系は大きさの制限がありましたがこの方法なら大きさに囚われないので選択肢が広がるのではと思います。
 広範囲で長期間の場合コストを抑えないと治療費が膨大になるので選択肢の1つになると思います。

(2013/02/25)

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