傷の治り方の模式図


 ある子供向け新聞で「傷の治療」を取り上げてもらうことになったが,新聞社側が用意した「傷の治り方」の図解がまるで湿潤治療にそぐわないことに気が付いた。新聞社が用意したのはNPO「創傷治癒センター」の説明図をベースに新たに書き下ろしたもののようだ。
 この説明図を見て違和感を感じないだろうか。なぜかというと,これは旧来の「カサブタができて傷を覆い,カサブタの下で治癒が進行する」様子の説明であり,カサブタができることを大前提にしている説明だからだ。

 だからこれは,被覆材を使った治療(=カサブタを作らずに治す)の経過に当てはまらないし,この図を使って湿潤治療を説明しようのは最初から無理なのだ。繰り返すが,これは「傷を乾燥させて治す」時代に作られ説明図であり,湿潤治療ではこのような経過は辿らないのである。

 そういう訳で,湿潤治療を行った場合の被覆材と創面と滲出液と表皮細胞の位置関係をメインに,模式図を作ってみた。これならちょっとは解りやすいのではないだろうか。

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 なお,この模式図は勝手にコピーしようと,Wordファイルに加筆・修正しようと私は全く構わない。このサイトの精神はCopyRightではなくCopyLeftだからだ。


(2012/04/05)

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