指末節部の皮膚軟部組織欠損:プラスモイスト使用例


 40代男性。印刷機に左示指を巻き込まれ受傷。直ちに当科を受診した。


3月14日 3月14日 3月14日 3月15日 3月16日 3月23日

 初診時の状態。軟部組織の欠損の度合いと欠損部の広さを示すために2方向の写真を示す。末節部尺側全体と一部中節部尺側の皮膚軟部組織欠損である。直ちにアルギン酸塩被覆材で創面を覆った。これにより,痛みがなくなった。
 翌日,出血がない様子を示す。もう一日,アルギン酸で被覆し,3月16日よりプラスモイストで被覆した。
 3月23日には,欠損部は肉芽によりほぼ平坦になり,自然な指尖部の形になっていることがわかる。この頃から,怪我をしたことを意識せずに指が使うようになった。


3月31日 4月5日 4月19日 5月2日 5月17日

 受傷後約2ヶ月を要したが,創部は順調に上皮化が進行し,5月中旬に全て上皮化した。指は普通に使っている。


 このような指の皮膚軟部組織欠損では,関節部にかかる症例でも湿潤治療で上皮化が得られる。瘢痕拘縮について気にかかるところだが,これまで治療した関節部の皮膚全層欠損症例を数ヶ月観察した経験では,あまり問題になっていないようである。「指が使いにくかったら手術で治せるからね」と説明しているが,実際に手術を希望した症例はない。

 たとえ,植皮をしたとしても,植皮辺縁での瘢痕拘縮は避けられないわけで,植皮をした場合と,湿潤治療で保存的に治療した場合で,治療結果は変わらないのではないかと思われる。

(2006/05/22)

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