ラップ治療中に汗疹が発生した場合の対処:プラスモイスト利用例


 40代男性。3月2日,作業中に180℃の熱したオイルで左下腿外側に熱傷を受傷。近医を受診し,ラップを巻いてもらい,痛みはすぐに治まった。しかし,数日後から患部に痛みを覚え,また,創周囲に汗疹が発生したため,3月7日,同僚の勧めで当科を受診した。


3月7日の状態 水疱膜が残っている アセモができている

 写真で示すように水疱膜が破れたままの状態で残っており,中の水疱液は混濁していた。また,創周囲には汗疹ができ,掻痒感を訴えていた。


水疱膜を全て除去 プラスモイストを貼付 3月8日

 水疱液が混濁していたため,これが感染源になっていると判断し,水疱膜を全て除去し,汗疹の部分も含め,広くプラスモイストを貼付した。セフェム系経口抗生剤を2日分処方した。 3月8日,わずかに創部痛は残っているものの,創周囲の発赤は消退し,汗疹も軽快していた。


3月13日 3月17日

 3月13日,ほぼ上皮化が完了し,汗疹も完全に消えていた。3月17日に再び診察したが,潰瘍の再発はない。


 この患者さんが一番最初受診した個人医院ではラップによる熱傷を知っていて,それで痛みがすぐに治まったのは患者さんにとっては幸運だったと思う。ただ,水疱膜を全て残したままラップ治療を続けたため,破れた水疱の中の水疱液が「細菌の培地」となり,創感染を起こしてしまった。水疱液が感染源となっていたことは,水疱液が混濁していたことからも明らかである。

 また,この症例のようにラップ治療で汗疹の発生を見ることは少なくない。従来はここでどう対処するか,非常に苦慮していたが,プラスモイストが使えるようになってからは,汗疹の問題はほぼ解決できたと思っている。

 もちろんこれは汗疹に限った話ではなく,伝染性膿痂疹(トビヒ)の治療にもプラスモイストは非常に効果的である。

(2006/05/00)

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