両手熱傷:プラスモイスト治療例


 50代女性。熱い油で両手に熱傷受傷。直ちに当科を受信した。全経過を通じて,治療に使用したのはプラスモイストのみであり,その他の軟膏などは全く使っていない。


1: 9月26日 2 3

  1. 初診時の状態。両手背を中心に大きな水疱形成を認め,特に右手は全指背部にも水疱形成が見られる。直ちに水疱膜を全て除去し,プラスモイストを貼付した(疼痛が強かったため,創洗浄も行わなかった)

  2. 左手の状態。

  3. 右手の状態。プラスモイストは薄くてしなやかなため,このように指を巻いてもある程度は指が動かせる。両手ともに念のため,この上にガーゼを当てて包帯を巻いた。


左手の経過を示す。

9月28日 10月3日 10月5日


10月11日 10月17日

 このように,10月3日から5日にかけて,急速に治癒していることがわかる。これまでの経験から,熱傷創は「治る時期が来ると加速度的に治る」ものらしい。


ついで,右手の経過である。

9月28日 10月4日 10月5日

 9月28日ではかなり深そうな印象であったが,その数日後から手背中央などから島状に上皮化が始まり,10月4日の時点では手背中央は上皮で覆われた(写真で光が反射していることからわかると思う)。また,10月4日と5日では指の腫脹が著明に軽減していることがわかる。創からの浸出液もこの頃から急速に減ってきた。


10月11日 10月17日 10月24日

 10月11日の時点で大部分が上皮化し,17日では,母指背側,母指−示指間,示指末節部背側を除き,上皮化が完了している。上皮化が遅れている部分にリンデロンV軟膏とプラスモイスト併用を始め,ここも10月24日に全て上皮化した。


10月31日 11月14日

 11月14日の写真では,母指−示指間に瘢痕拘縮を認め,示指,中指も完全な屈曲はできていないが,家事をする際の不便は,それほどないようである。母指−示指間の瘢痕拘縮はZ形成術の適応だろうと説明しているが,現在のところ治療を希望していない。

(2006/03/17)

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