上皮化がストップしたらステロイド軟膏を試してみよう


 以前から多く寄せられる質問の一つに「肉芽が盛り上がりすぎて,そこから上皮化が進みません。どうしたらいいでしょうか?」,あるいは「肉芽形成はいいのですが,上皮化がストップしています。どうしたらいいでしょうか?」というものだ。こういう場合はステロイド軟膏が著効することが多い。


 過剰肉芽,つまり,創縁より肉芽が盛り上がりすぎている場合には上皮化はストップしてしまうことがよくある。このような場合の対処法としては,次の3つが有効である。

  1. ステロイド軟膏をプラスモイストかハイドロサイトにと付して肉芽に貼付。
  2. 過剰肉芽を切除してからアルギン酸を貼付する。


 ステロイド軟膏(デルモベートなどの強いステロイド剤の方がよい)塗布がもっとも手軽であり,また効果もある。この場合は,ハイドロサイトかプラスモイストにステロイド軟膏を塗布して,それを肉芽に当てるようにする。

 切除はそれよりも確実な効果が得られることが多いようだが,局所麻酔が要るし,手間もかかる。翌日も通院してもらう必要があるため,患者さんの負担もやや大きい。

 なぜステロイドが有効である理由については,掲示板過去ログのこの書き込みをご参照ください。

 このように考えると,ステロイド剤(ケナコルトなど)の肉芽内注射も有効のように考えられるが,筆者はまだ試していない。


 肉芽面が変に水っぽくてブヨブヨしていて上皮化が進まないこともある。大体こういう場合は,ブヨブヨ肉芽をエイヒで削っていくと,固い瘢痕組織の上に肉芽が形成されていることが多いようだ。つまり,肉芽への血流不全が原因であろうと考えられる。こういう場合は,この瘢痕を切除して「リセットボタンを押す」しかないようだ。
 肉芽を削って植皮をするという選択肢もあるが,もともと循環がよくないこともあり,うまく生着しないことが多い。

(2007/09/11)

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