新しい創傷治療:

《デッドマン・コーリング》 ★★★(2004年,アメリカ)


 可もなく不可もない、ホラー風味のテレビ向けサスペンス映画。元は2時間番組用に作られたようですが、DVDでは85分弱にコンパクトにまとめられていて、ちょっと暇つぶしに見るにはいいと思います。また、脚本はしっかりと作られていて、全ての謎は最後にきちんと説明されていますので、そういう面での不満はありません。

 ヒロインのアン・ヘッシュは普通に美人ですし、サービスのベッドシーンもちょっとありますが、ま、このくらいなら、「教育上よろしくありません」と目くじらたてるほどじゃないですね。また、亡霊さんは出てきますが、そんなに怖くありません。せいぜい、ヒロインが車に乗り込んで隣を見ると、助手席に亡霊さんが座っているシーンがちょっと怖いくらいでしょうか。音楽とかカメラワークはホラー映画の定石を踏んでいますのでちょっとびびらせてくれますが、最後に亡霊さんも無事に成仏できて、めでたし、めでたしモードで終わりますから、後味は悪くありません。ホラーが苦手な人も、これくらいなら大丈夫でしょう。

 一応、アメリカの霊能力者(女性)が実際に体験した出来事を下敷きにしているんだとか。ま、本人がそう言い張っているのですから、実際にあった話だと信じてあげましょう。


 映画は、ホラー映画のお約束として、二人の馬鹿ップルが森でイチャイチャしていて、さあ、これからというところで死体の一部(指)を見つけるシーンから始まります。

 そして、ヒロインである女性弁護士のエミリー登場。彼女は偶然の出来事からカメラマンのビリーと1ヶ月前に知り合い、電撃的な恋におち、二人は既に結婚を考えるまでラブラブになります。そしてビリーはある骨董店で一つの指輪を見つけて購入し、彼女に結婚指輪としてプレゼントします。しかし、その指輪をつけてから、彼女には血だらけの若い女性の姿が見えるようになり、自宅でもラジオやテレビのスイッチがいきなり入り、なぜか40年前の番組(アポロ11号月着陸を知らせるニュースです)がテレビ・ラジオから流れるという奇怪な出来事に見舞われます。

 実はエミリーは18歳の時に両親を事故で亡くし、両親の亡霊(?)を見たと言ったために精神病院に強制入院させられたという過去があります。しかし、その血だらけの女性が自分に何かを伝えようとしているのではないかと考え、ビリーがその指輪を購入した骨董店に行き、前の持ち主が40年前の失踪事件の被害者で、見つかった唯一の遺留品が切断された指で、その指にはめられていた指輪だったと聞かされます(ここで映画冒頭のシーンの意味が説明されます)。

 エミリーは40年前の新聞記事を頼りに、当時の事件を担当した刑事に会い、それが未解決の殺人事件であることを知ります。そして、自分に見えるその女性は、この世に未練を残した霊が自爆霊となっていることを知り、事件の真相に迫っていきます。そしてついに、驚愕の事実が・・・ってな具合に進みます。


 登場人物は多くありません。エミリーとエミリーの秘書、ビリーと彼の両親、殺された女性の恋人、そして40年前にこの事件を担当した刑事、これくらいです。殺人犯はこの中にいます・・・が、何しろ40年前の事件ですから容疑者はビリーの両親か被害者の恋人か刑事の4人に絞られます。ま、常識的に「刑事が犯人」というのはあまりに無茶な設定ですから、ビリーの両親か恋人かしか容疑者はいなくなります。そして、「警察が疑った容疑者は実は真犯人でない」というサスペンス映画の鉄板のお約束を当てはめると、容疑者はビリーの父か母しか残りません。後は、どちらが真犯人か、というだけです。

 というわけで、勘がいい人なら映画のかなり早い段階で「40年前の殺人事件の犯人」はわかっちゃうでしょうね。何しろこのビリーのご両親は最初に登場した時にエミリー、「実は若い時に芸術家になることを断念し・・・」という言わなくてもいい自己紹介をしていますので、この時点で既に怪しげに見えるんですね。


 というわけで、あっと驚くような真犯人ではありませんし、極めて常識的なサスペンス映画といえます(ま、常識的サスペンス映画、と思われた時点で悲しいものがありますが・・・)。

 それにしても、アメリカでは古いアンティークの指輪を婚約指輪として送るのが常識なんでしょうか。誰が使っていたかもわからない指輪なんて私はちょっと嫌ですね。だって、前の持ち主はたぶん死ぬまで指にはめていたんでしょう? ちょっとこのあたりは、私にわからない感覚です。

 そういう、よりにもよって曰く付きの指輪をビリーが購入するというのも都合よすぎなんですが、ま、このあたりは、霊が自分を殺した息子を呼び寄せて買わせた、と納得するしかないでしょう。

 そういえば、自分が殺した女性の絵の上に、新しい絵で塗り潰し、それを部屋に飾っておくというのもちょっとわからないです。しかも、塗り潰したのは奥さんですよね。このあたりの心理は、最後までわかりませんでした。

 それにしても、40年前の殺人事件が解決し、犯人として自分の父親が逮捕されたというのに、それからわずか数週間(?)でエミリーと結婚するビリーの感覚がわかりません。というより、エミリーとビリーの脳天期な笑顔とラブラブぶりは人間としておかしいです。


 というわけで、いくら良いものでも、骨董店で買った指輪を婚約指輪にしちゃだめだぞ、という映画でした。

(2009/01/23)

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