《デモンズ2009》★★ (2008年,アメリカ)


 何でこんな映画を見ているんだろう、罰ゲームっすか? という感じの超つまらないクズ映画。一応スプラッター系ホラー映画みたいなんだけど、怖くも何ともないし、目を覆うようなゴアシーンもなし。どうせバカな映画なんだからバカに徹すればいいのに、変に小賢しくまとめようとしたもんだからパワフルさもありません。要するに、絵に描いたようなダメ映画です。


 どういう映画かというと・・・と内容を説明するのも一苦労なんだけど、主人公はアナという女性。彼女は幼い娘が誘拐されて殺害され、その殺害シーンを納めたビデオ(ゴアフィルム)が闇サイトを通じて流通していることを知り、ついにその犯人を突き止め、彼が「ゴアハウス(殺人屋敷)」という闇サイトに出入りしていることを知り、復讐を企てます。

 ゴアハウスではゴアフィルム(殺人の様子を撮影した映像)などが取り引きされるほか、時々、「本当の殺人を楽しむ会」が開催され、今回もそれを目当てに多数のマニアが参加していて、アナの娘の殺害フィルムを出展した男もそれに参加し、アナもお宝ビデオの常連提供者として参加します。

 ゴアハウスは一人の男が主催していましたが、彼の真の狙いは「マニアに殺人シーンを見せる」ことでなく、彼ら(=悪人たち)を殺害することにありました。神が彼らのような社会のクズを一掃することを求めていたからです。そして悪党連中を一掃するための殺人マシーンが彼の妹アレクサでした(DVDジャケットのちょっと怖い顔のお姉さんはこの妹アレクサです)。彼の妹は「苦痛を感じなくし、傷の治癒も早くなる」薬剤の実験台(?)になりそういう体を獲得したんだけど、副作用(?)として恐ろしい形相になって凶暴性を持ち、人間を食うようになったのです。兄はその妹を利用して悪党どもを集めて殺そうとしたわけです。

 アナは娘を殺した犯人を射殺しますが、その時すでにアレクサは建物の中に放たれ、ゴアハウスの主催者はその建物を封鎖して誰も逃げられないようにしたため、参加者は次々とアレクサに殺されていきます。そしてついにアナも銃で腹部を撃たれて瀕死の状態になり・・・という映画です。


 要するに、ゴアハウス(異常マニアが集う組織)に参加して娘の敵討ちをはかる母親の物語と、ゴアハウスと見せかけて実は悪党どもの一掃をはかる男の物語と、薬剤の副作用で悪鬼のような怪物に変身してしまったアレクサの物語という3つの要素を絡めて作った映画ですが、明らかに「アレクサの物語」がうまく絡んでいないというか、これだけ浮いているというか、そういう感じがします。無理にアレクサを登場させずに、最初の二つの物語だけにした方がよほど面白かったと思うし、統一感が出たと思いますね。
 要するに、アレクサの部分が余計なんですね。もちろん、アレクサがいなければホラー映画にならないんですが、最初からホラー映画ではなくサスペンス映画にすればよかったんですよ。

 逆に言えば、なぜそこまでしてアレクサにこだわったのか、なぜ無理をしてまでホラー映画を作ろうとしたのか、観客側には伝わってこないんですね。


 しかも、娘の敵討ち物語とゴアハウスの物語と悪党一掃計画の物語はうまく絡み合っていて、テンポよく緊張感が高まっていくんですが、アレクサが登場する部分でだけテンポが狂っちゃうんですよ。アレクサは意識がないみたいで兄が特定の音を流すことで凶暴化するんですが、その音が鳴らされて歯を剥き出しにして走り出したはずなのに、なぜかその後、なかなか姿を現しません。何が何でももうそろそろ襲ってくるタイミングだよね、と思っても襲ってきません。
 で、ゴアハウスに集っている人間たちのスリリングなやりとりがあったり、お姉さん同士のレズシーンがあったりして、みんながすっかりアレクサのことを忘れた頃にようやく、殺戮シーンになるんですよ。アレクサちゃん、どこで道草食っての? それとも迷子になっちゃったの?

 アレクサちゃんは定期的に注射を打たなければ死んでしまうらしいのですが(注射係はアレクサちゃんの兄の子分)、なぜかこの子分ちゃん、腹部を撃たれて瀕死のアナにその注射を打ってしまい、それでアナは不死身に変身しちゃうんですよ。なぜ子分ちゃんがアナに注射したのかは最後まで不明。まぁ、話の展開上、アナが不死身の殺人鬼に変身する必要はあるんですけど、「お前,わざと注射する相手を間違っただろ」という感じがプンプンしています。

 しかも、注射されたアナは意識を保ったままモンスター(?)に変身するのですが、これって途中の説明と矛盾してます。ここも無理矢理な展開だったな。


 ま、こんな感じの映画なんですけど、見たい人、いますか? 個人的には見ない方がよろしいかと思いますけどね。

(2010/03/04)

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