新しい創傷治療:エアポート2011

《エアポート2011 "Airline Disaster"★★(2010年,アメリカ)


 我らがアルバトロスに「エアポート」シリーズというのがあります。世界各国で作られた飛行機関連の映画を何の脈絡もなく並べただけの「なんちゃってシリーズ」ですが、その2011年版がこれです。しかも作成したのがあのAsylumときてます。ヘッポコ巨大生物パニック映画なんぞを量産しては一部マニアを喜ばせているあのアサイラムです。アサイラムとアルバトロスの合体とあらば、これはB級映画マニアとしては見逃すわけにはいきますまい。

 さて、今回はどんなダメ映画でしょうか。ワクワクしますね。


 舞台はもちろんアメリカ。コンピュータによる完全自動操縦化に成功した最新鋭の巨大旅客機スタークエストがついに初フライトの日を迎えた。機長はフランクリン(メレディス・バクスター)で、実の姉がアメリカ合衆国の女性大統領である。しかし、その最新鋭機にはネオナチ集団が乗り込んでいて、フライト早々に彼らにハイジャックされてしまう。同時にネオナチ集団はフランクリンの妻と子供たちを誘拐し、アメリカ合衆国に仲間たちの釈放を突きつける。

 その飛行機には大統領の弟であるフランクリンの身辺警護係としてSPのジーナ(リンジー・マッケオン)も乗っていたが、彼女はいち早く異常を察知して貨物室に身を潜めていた。

 アメリカ政府は外部から飛行機を操縦する新システムの使用を決めるが、飛行機の配電盤の不具合から外部操縦不能となり、しかも燃料を途中で放出したため燃料は空になり、市街地への落下は免れなくなる。この事態に大統領は飛行機の撃墜を命じるが、最新鋭機にはミサイル撃退システムも装備されているため、ミサイル攻撃もできない。人工衛星からのレーザー砲も飛行機に照準を合わせられず、かえって街を破壊してしまう。そのころ、貨物室のジーナはテロリストたちに反撃を開始するが・・・という映画でございます。


 このあらすじを読んだだけで、映画のレベルがわかりますよね。どうやらテレビ映画として制作ものらしく、もちろん低予算です。最新鋭機という割にはコックピットも客室も安っぽいし、飛行シーンと街が破壊されるシーンはCGですが、こちらも安っぽいです。
 唯一、誉められるのはジーナ役のマッケオンとフランクリンの奥さん役の女優さんが美しいことです。特にマッケオンさんは美人で華があり、おまけに腕っ節も強く、沈黙シリーズのスティーブン・セガール級の活躍をします。彼女の活躍は見ていて楽しいです。


 それ以外は全部ダメ。

 飛行機に10人のテロリストが・・・というのはいいとしても、全員が銃を携行して飛行機に乗り込めるなんてちょっとひどすぎ。飛行機ってペットボトルだって持ち込めないのに、10人が拳銃持参だもんなぁ。しかも、隠すとかどっかにしまうとか、そういう工夫はいっさいなし。ほとんどの映画ファンはこのあたりで笑い出すか、怒り心頭でしょうね。

 おまけに、「この最新鋭機にはミサイル撃墜装置が付いている」ですぜ。こいつは旅客機でなく戦闘機か? 人工衛星からのレーザー砲にも笑っちゃったな。照準が合わなくて道路とか建物とか破壊しまくるんだもの。「9割の確率で成功します」って大統領顧問は言っていたけど、その確率、かなり盛ってないか? っていうか、このレーザー砲でかなりのアメリカ国民が死傷しているんじゃないか?

 テロリストの親玉の真の目的は途中で明らかになりますが、手に入れた1億ドルの有価証券を持って、飛行機からどうやって逃げるつもりだったんでしょうか? 貨物室に爆弾を仕掛けてどうするつもりなんでしょう。どう考えても、逃げる算段をしていなかったような印象です。

 テロリストの10人も弱すぎ。ジーナちゃんにバッタバッタと倒されちゃいます。もうちょっと体を鍛えてからハイジャックに臨んだ方がいいと思いますよ。


 脚本もなってないです。普通のハイジャック系パニック映画なら、たまたまその飛行機に乗り合わせた人たちの背景、機内のハイジャック犯と乗客たちのやりとり、政府側の救出作戦・・・という多重的なドラマになりますが、ハイジャック犯がハイジャックに及んだ経緯も不明なら、乗り合わせた乗客たちの人間像も描かれていません。ハイジャック側と大統領のやりとりも紋切り型だし、フランクリン機長の家族救出作戦も呆気なく成功します。

 ラストの不時着シーンがやたらと長いです(時間的には大して長くないんだけど、退屈なんで長く感じる)。しかも、シーンの大半は機長と副操縦士が顔を真っ赤にして操縦桿を動かしているだけ。これで退屈するなと言う方が無理です。


 というわけで、アルバトロスとアサイラムの合体技を楽しんだ次第でございますよ。

(2013/06/01)

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