有名すぎる文学作品を大体10ページくらいの漫画で読む。
ドリヤス工場


 取り上げられている作品は歴史の教科書に必ず登場する超有名作品だが,実は私は太宰も漱石もほとんど読んだことがなく,この漫画で初めて内容を知った作品が多い。「要約した漫画で作品を論じるとは笑止千万! 味噌汁で顔を洗って出直して来い!」的な方もいらっしゃると思いますが,ま,大目に見て下さい。

 ちなみに,富山に行く北陸新幹線の車中でKindleで読みました。旅行中の読書はやはりKindle,スマホが便利。

 ちなみに,ドリヤス工場さんの画風は妖怪漫画の水木しげるっぽくて,そのちょっとレトロなタッチが「100年前のヒット小説」に絶妙にマッチしている感じ。あと,女性に恨みでもあるのかと言いたくなるくらい,登場する女性は貧相で魅力がないです。


 太宰治の「人間失格」。ダメ人間がどんどんダメになっていくだけの物語。どこが面白いんだろう,という感じで,正直,金を払って読むまでもないな。

 中島敦の「山月記」。これは面白い。官吏勤めに嫌気が差して逃げ出した男が,なぜかトラに変身しちゃう話だが,格調高い五言絶句が凛とした佇まいで全体を引き締めている。

 梶井基次郎の「檸檬」。これのどこが面白いのかさっぱりわからない系。ダメ人間が自分のダメな心象風景を正直に描いているんだろうが,書店(丸善)に入って本を床に散らかしたまま出てきちゃダメだろ,本はきちんと書棚に戻せ,と叱りつけたくなりますね。檸檬が爆弾で丸善を木っ端微塵,なんてモロに電波系。

 森鴎外の「舞姫」。これも面白くないなぁ。これを読む前から,森鴎外は「脚気の原因は白米である」と喝破した鈴木梅太郎を徹底的に潰そうとした張本人という知識しかなかったが,この舞姫の要約を読んだらさらに大嫌いになった。まさしくクズ人間の書いたクズ小説。

 坂口安吾の「桜の森の満開の下」。怪異譚,おとぎ話として読めば腹が立たない程度の作品。読み終わった後に「だから安吾君は何を訴えたくてこれを書いたの?」と聞き返したくなる。これも読むだけ時間の無駄かな。

 カフカの「変身」。これは高校生の頃読んだかな。主人公が死んじゃってから後が,「これ以上話を続けるの,飽きたから止〜めた」感がありあり。多分,「男が朝起きたら巨大な虫になっていた」という出だしだけ思いついて書き始めた「出だし一発芸」小説じゃないだろうか。
 何かに似ていると思ったら,これはリヒャルト・シュトラウスの音楽だよ。R.シュトラウスって曲の出だしは壮大で格好いいんだけど,その後どんどんショボくなって,竜頭蛇尾で終わるんだよね。

 宮沢賢治の「注文の多い料理店」。これは小学生の頃読んだはず。内容もまぁまぁ面白い。

 永井荷風の「墨東綺譚」。これも「だから何なの?」系のよくわからんなぁ,という作品。いわゆる芸者遊びとか色街での遊びを描いたものだろうが,私にはそっち方面の経験も知識も興味も全くないので,読んでいても何一つ伝わってこない。これも読まなくていい小説だな。

 泉鏡花の「高野聖」。これも「だから何なの?」系。この漫画だけ読むと登場人物の関係がよくわからないため,隔靴掻痒感がひどい。

 夏目漱石の「三四郎」。これも超つまらなかった。どこをどう端折ったのかわからないが,互いに無関係のエピソードが連続しているだけだった。これも読まなくていいな。

 アンデルセンの「雪の女王」。魔法の鏡の破片で男の子の性格が粗暴になるってのはおとぎ話の定番だからいいとしても,妹(?)の涙で元に戻るってのはおかしいだろ。魔法の鏡に決着をつけないと,ストーリーが完結しないと思うぞ。

 芥川龍之介の「羅生門」。これも読んだことなかったけど,これしか内容がない小説だったの,と驚いちゃった。盗賊になる勇気のなかった男が,老婆の話を聞いているうちに本物の追い剥ぎになりました,というだけのことでいいのかなぁ。どこがいいのかさっぱりわからんぞ。

 田山花袋の「布団」。うわぁ,つまらねぇ,というお話。主人公の中年オッサンが布団の残り香を嗅いで煩悶する最後のシーンで有名になった作品らしいが,今となっては「だから何なの?」である。まぁ,「日本の小説の歴史」を語る上では重要なんだろうが,今となっては割れてしまった骨董品。

 幸田露伴の「五重塔」。要するに,大工さんの職人魂ってやつで,これは現代でも通用する作品ですね。ちょっと気になるのは,それまで長屋の羽目板の修繕しかしてこなかった十兵衛さんが,いきなり宮大工もびっくりの腕をふるっちゃうこと。原作ではその辺りは理路整然と説明してあるのかもしれないけど。映画の原作としてはバッチリでしょう。

 新美南吉の「ごん狐」。自分の功績だと兵十に認めてもらいたいがために兵十の前に姿を表したら,兵十さんに銃で撃ち殺されちゃいました,という救いようのない悲惨な話。

 樋口一葉の「たけくらべ」。これも「だから何なんだよ」系。途中の喧嘩のシーンもよくわからないし,雨のシーンもこれって何よ,ってな感じ。何より,主人公と信如さんとの関係が淡過ぎ淡白すぎなんで中途半端感一杯です。歴史的価値はあるんだろうけど。

 魯迅の「阿Q正伝」。学はないくせにプライドだけは高い阿Qさんが,革命に巻き込まれ,盗賊一味に間違われて捕まって殺されました,というお話のようです。要するに,中国民衆の愚かしさを指摘した作品ですかね。

 伊藤左千夫の「野菊の墓」。これも現代人の目からすると淡白というか薄味。

 トルストイの「イワンのばか」。これは子供の頃に読んだ記憶があるが,大人になって読んでも意外に面白い。自分の手を使って労働するものが最も尊いのだ,的な「道徳の教科書」臭は気になるけどね。

 ポーの「モルグ街の殺人」。ポーの作品は子供の頃によく読んだが,この作品は未読。推理小説なんだけど,この真犯人ってあり? 何だか無理やりっぽくないっすか。

 菊池寛の「恩讐の彼方に」。これは子供の頃に読んだけど,今読んでもいい話だと思う。

 二葉亭四迷の「浮雲」。これも「だから何なの」系だな。「大昔の人はこれを読んで感動したんだって。他に娯楽がなかったんだろうね」という感想しか浮かばない。

 グリム兄弟の「ラプンツェル」。「グリム童話ってもともとはかなり残酷で黒い話なんだよね」というお話の一つ。12歳になったラプンツェルを魔女が出入り口のない塔に閉じ込めるというのも,王子が忍び込んでくるのも,それを知った魔女がラプンツェルの髪を切るのも,全てエッチ方面のエピソードっすね。

 夢野久作の「ドグラ・マグラ」。原作の文庫本のカバー絵だけ知っているけど,中身は読んだことがない本。漫画の要約を読んでも何が何だか分からないっすね。本当にこんな内容と雰囲気の小説なら,読まないまま死んでも後悔しなさそう。

 堀辰雄の「風立ちぬ」。昔の結核の治療(療養療法)の様子がよく分かる小説だけど,それ以上でもそれ以下でもないな。


 ドリヤス工場さんの他の作品にもリンクしときますね。

(2015/10/13)

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