《エイリアン・ビギンズ》 (2002年,アメリカ/フランス)


 この映画のタイトルをGoogleで検索してみて下さい。幾つかの映画評論サイトの感想が見つかるはずですが,そのどれもが,「レンタル代が惜しい,金返せ!」とか,「絶対に見てはならないクズ映画」なんて批判ばかり並んでいて,褒めている物は皆無です。もちろん,この評価は極めて正当なんですが,なにしろこちとら,《ダ・ヴィンチ・ウォー》とか《リビングデッド・ザ・ビギニング》なんてクズ映画ばかり見ておりますので,鑑賞眼のレベルがかなり下がっております。この映画については,「ま,クズはクズだけど,クズの中ではちょっとはまともな方だよね。ストーリーは一応あるし,登場人物も3人以上だし,起承転結は一応あるし・・・」という感じでした。

 むしろ,まともに作られ過ぎているために常識の枠にとどまってしまい,唖然とするほどひどいけど面白い,というものがありません。お利口さんが真面目に作ろうとしたんだけど予算が足りなくてねぇ,という悲哀すら感じました。

 と言うわけで普通の映画ファンは近寄らない方がいいです。時間と金の無駄ですから。


 「脱獄囚たちが目指した街に到着したら,その街はエイリアンたちに占領されていて,おまけにそのエイリアンはただのエイリアンでなく,銀河刑務所への護送中に逃げ出した極悪エイリアンだった」,という映画のテーマ自体は悪くないと思いますよ。極悪脱獄囚 vs 銀河一の悪党ども,ですからね。金と手間暇さえかければ,馬鹿馬鹿しいけど面白いよね,という映画になったはずです。でも,金もかけてないし手間暇を惜しんじゃったもんだから,端にも棒にもかからない愚作になっちゃった。ま,自業自得ってとこでしょう。勉強しないから成績が落ちた,というのと同じですね。

 まず,エイリアンの作りがチャチというか,全身の着ぐるみすら作っていません。顔だけとか手だけとか足だけとか,そういうパーツは見せてくれますが,全身像は最後まで見せてくれません。要するに,パーツを作っただけで撮影に臨んだ模様です。しかも,このエイリアンの顔は,あの誰でも知っている有名エイリアン映画のパクリというか,それをおとなしくした物です。というわけで,迫力まったくなし。


 しかも,この「銀河一の凶悪宇宙人」が弱いのなんのって。ピストルで撃てば死ぬし,ライフルならもっと簡単に倒せます。

 どう考えても強さのランキングは〔銀河一の凶悪犯〕>〔地球一の凶悪犯〕>〔アメリカ一の凶悪犯〕で,銀河一の凶悪犯なら,普通であればミサイルをぶち込んでも避けたりできるはずですよね。おまけに,宇宙船で宇宙空間を自由自在に飛んでくるだけの文明を持っているんだから,地球人の兵器なんてオモチャ同然のはずで,地球人がやっつけられるわけないじゃん。それがなぜかピストル一発で殺られちゃう。これで銀河一の悪党か? 何でこのエイリアンたちが街を全滅し,海兵隊を壊滅できたのか,さっぱりわかりません。

 あと,宇宙人の円盤のコンピュータにいきなり英語が通じてエイリアンたちの情報が得られるってのもすごかったな。宇宙に通用する言語,それが英語さ・・・ってか。

 最後の爆撃シーンもショボ過ぎて哀れでした。2回爆発があっただけで,街中を占領していたエイリアンが死んだと言われてもなぁ・・・。もしかして,あの極悪エイリアンって虚弱体質だったんでしょうか。


 こういうアホ映画といえば,必ず登場するのが「頭はアホだけどオッパイだけは詰まっているのよ」というお姉ちゃんです。この映画にも2人登場します。どちらも普通に可愛くて巨乳ですが脱いだりしませんので,期待してはいけません。さらに,女医さんが一人登場して,こいつも後半,意味もないのにタンクトップ姿になり巨乳を披露してくれますが,もちろんこれでおしまい。つまり,こっちの方面でのサービスはありません。


 というわけで,何でこんな映画を21世紀に作ったのか,それが最大の謎でした。しかも,アメリカとフランスの合作みたいだし・・・。

(2007/01/19)

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