《スケルトンマン 史上最悪の死神》 (2004年,アメリカ)


 この映画の内容を6字でまとめると「だから何なの」となります。7字にまとめると「これって何なの」となり,8字だと「結局どうなったの」となります。これ以上感想が浮かばないんだからしょうがないです。伝説的クズ映画と言うほどひどくはないけど,内容の無さはまさに救いようがありません。
 これで,ストーリーがもうちょっとムチャクチャとか,内容がもっとスカスカなら,「史上最悪の死神じゃないけど,史上最悪の映画だね」というカルト的評判が得られたかもしれませんが,中途半端にひどい程度です。なんだか,紹介するほうも投げやりになっちゃいます。


 ストーリーをまとめるとですね,森林地域で演習をしていた陸軍特殊部隊が「奴が襲ってくる」という通信を最後に消息を絶つんですよ。そこで,デルタフォースのラリー大尉を中心とした特殊部隊8人(だったかな?)が救出に向かう訳ね。そこで,黒いマントに黒い頭巾を被り,馬にまたがった骸骨男に襲われ,一人,また一人と殺されていく,という素敵な映画なんだよ。

 この骸骨君の正体を教えてくれるのが,ラリー達が途中で出会うチェロキー族か何かのネイティブ・アメリカンの古老です(古老,と説明されているんだけど,どう見てもそんなに年寄りじゃなかったような気が・・・)。彼によると,400年ほど前に,突然狂ったように部族全員を殺しまくった狂戦士がいて,こいつが50年ごとに地獄から蘇っては狂ったように人を殺しまくるんだそうです(このように説明されているんだけど,日本語吹き替え版ではそういう説明はなかったような気が・・・)
 なんで狂戦士が部族全員を殺したのかも訳がわからなければ,何で50年ごとに蘇るのかも不明。すべては謎に包まれて何一つ解決されません・・・というか,解決しようとする態度すらありません。

 この遺骨マント君,強いっすよ。何しろ地獄から蘇ったのですから,生きていません。だから殺そうと思っても死にません。銃弾を浴びても死なないし,地雷を踏んでも死にません。それでいて骸骨君は斧やら剣やらを振り回すもんだから,そのたびに人間の首はちょん切れるわ,腕はちぎれるわ,可愛い姉ちゃんは串刺しにされるわ,やりたい放題です。おまけに,突然消えたり,何もないところにワープして現れたりと,まるでプレデターです。おまけに攻撃してくるヘリはランボーさながら弓矢で撃ち落とします。
 要するに,弱点が一つもなくて攻撃力のみ強大なんですから,最初から反則ですよ。

 これじゃ人間さん,最初から相手になりません。案の定,兵隊さんも学者さんも工場従業員さんも,ただただ殺されるだけです。抵抗も何もできません。子供がアリを踏みつぶしているようなものです。


 最初の惨劇の舞台は遺跡発掘現場で,犠牲になるのは研究者とその助手。次いで森林の特殊部隊,森林内の発電所の従業員と,手当たり次第です。舞台が変わるけど,骸骨マント君がしていることは変わりません。ただ殺すだけで殺し方がちょっと変わるだけですから,派手な殺戮シーンが続く割には,盛り上がりが全くなく,平板です。

 特殊部隊の救出に向かうデルタフォース主体の8人組の編成がなんだかなぁ,という感じです。4人が女性ですが全て民間出身です。一応サバイバルのインストラクターとかなんですけど,皆さん,胸を強調したタンクトップスタイルですが,それ以上脱ぐシーンはありませんので,変な期待をしないように。

 この救出部隊は一応精鋭揃いという設定なのですが,揃いも揃って射撃が下手というか,骸骨マント君が出るとパニックを起こしてめくら滅法にマシンガンを乱射するだけで,弾が全然当たりません。ま,当たっても死なない相手なんですけど,当てるくらいの努力はしましょうね,精鋭部隊なんだから・・・。


 それにしても,なぜネイティブ・インディアンが黒いマントを羽織っているのでしょうか・・・っていうか,どっかで見たことがあるなと思ったら,これって『黄金バット』のコスチュームそのまんまじゃねえか。お前ら,パクったろ。

 で,最後は唐突に,森のそばにある(?)化学プラント工場が舞台になります。そして生き残ったラリー大尉が黄金バット君(・・・違うって)を追って中に入り,どこかにおびき出したところで無線で「今だ,電源を入れろ!」と連絡し,黄金バット(だから違うってば)ごと爆破して殺そうとします。そして工場は大爆発し,ラリー大尉はすんでの所で飛び出して助かります。

 「これで奴は倒れたんでしょうか?」と聞かれた大尉は答えます。「俺に聞くんじゃない。俺だってわからない」。

 ナイス! 素晴らしい答えです。マシンガンでも地雷でも死なないのに,これで死ぬのはおかしいよ,と誰しも思っているからです。映画監督と脚本家,このあたりで既にやる気を失せてしまったようです。大風呂敷を広げたものの,自分で畳めなくなっています。

 ちなみにこれで映画はお終いです。めでたし,めでたし・・・かな? 多分この黄金バット君(似てるけど違うんだってばぁ),50年後にまた蘇り,大活躍してくれるんでしょう。

(2006/11/09)

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