《死霊の盆踊り Orgy of the Dead》 (1967, イタリア)


 なぜこの映画を見たのか。理由はただ一つ,伝説のクズ映画と言われているからです。比類なき超B級映画と評価(?)されているからです。名作映画と同様,クズ映画もこよなく愛する(?)人間としては,これは避けて通れません。

 で,どうだったかというと,途中で何度も記憶を失うほど(=寝てしまった)つまらない映画でした。もちろん,事前に大体の内容は調べておいてその上で見たのですが,事前の予想をはるかに超える内容の無さと弛緩しまくった内容でした。つまらなさもこのくらいのぶっ飛んだレベルになると,怒りとかそういうものを感じなくなると言うことを知りました。


 えーと,映画の内容は4文字にまとめることができます。そのものズバリ,「オッパイ」です。8字にまとめると「オッパイオッパイ」ですし,12文字なら「オッパイオッパイオッパイ」です(・・・ちょっとしつこい)。それ以外は何もありません。トップレスのお姉さんがオッパイをユサユサと揺らして踊っているだけです。美乳,巨乳,普通乳と選り取りみどりですが,途中からそんなのはどうだってよくなってきます。お前,もう踊らなくていいよ,乳を見せなくていいよ,という気になってきます。

 おまけに踊りといっても,全然やる気なし。「前,ならえ」みたいな格好と腕を垂らした格好を交互に繰り返しているだけで,ちょっと腰を振るだけのお姉さんがいます。あるいは昔のモンキーダンスをやる気なく踊っているだけのお姉ちゃんもいます。盆踊りみたいな振り付けで踊っているお姉ちゃんもいます。そういう下手なオッパイダンスを一人当たり,延々と5分も続けるのです(場合によってはもっと長い)。早送りにしてもまだまだ踊っています。さっさと次に替われ,と言いたくなってきます。

 そしてその他の登場人物達の演技も学芸会レベルでとても楽しめますよ。


 ストーリーはあってないようなもの。ホラー小説作家が奥さんを連れて夜の墓場に取材に行くんだけど,そこで事故を起こし,気が付いたら死霊達が踊っている墓場だったのですよ。そこで捕まえられ,闇世界の王と夜の女王に「死ぬより怖い目に遭わせてやる」と言われ,それはそれは恐ろしいトップレスの死霊お姉さん達の盆踊りを延々と見せつけらっていう素敵な内容でした。

 まず最初からすごいですよ。夫婦が車で走っているシーンなんですが,「夜の墓場に向かう」という設定のはずなのに,車は真昼間を走っています。ところが車の中の会話になるとなぜか外は真っ暗です。手を抜きまくっています。

 夫婦は狼男とミイラ男に捕まって,門柱みたいなのに後ろ手で縛られて動けないのですが,縛っている紐は思いっきり細くて適当に縛っているだけ。最初から緩んでいるようにしか見えないんですが,なぜかなかなかはずれません。オッパイ盆踊りを続けるために紐が解けなかった模様です。

 その後,作家の旦那は縄抜けに成功しますが,何もせずに「様子を見ていよう,今動くのは危ない」とかいって,オッパイを鑑賞するだけで行動を起こしません。夜の女王がいよいよ奥さん(実はかなりの巨乳のお姉さん)を殺そうとするところで止めに入るんですよ。ここでいよいよアクションシーンかなと思うと,あっさりとミイラ男に殴り倒されて気絶。何のために縄抜けをしたのか意味不明です。主人公の仕事をしていません。


 闇の帝王だか魔王かよくわからない奴が,オッパイ踊りを5人くらい見たあとでミイラ男と狼男を呼びつけ,「踊りだけではつまらん。何か趣向を考えろ」と命令するのですが,ミイラ男が「では,もう少し踊らせましょう」と進言すると,「おっ,それがいい」と言います。全然,問題解決になってないジャン。

 夜の女王は作家の妻を早く殺したいくて,王に「女を早く殺させてくれ,月が沈み,夜が明けてしまう」と何度も言うんだけど,そのたびに王様,「まだ時間はある。もう少し踊りを見よう」って言うの。お前さっき,「もうつまらん」って言ってなかった? もう忘れたのかよ。
 結局,「まだ時間がある,もう一人踊りを見よう」が3回くらいくり返され,女王がいざ殺そうとすると夜が明けて,死霊たちは日の光を浴びてみんな骸骨に戻っちゃう。


 というわけで,この映画を最後まで早送りなしで見た人がいたら,その忍耐力を尊敬します。大抵は,3人目のオッパイ姉ちゃんのあたりで早送りボタンを押すはずです。

(2006/10/23)

 

映画一覧へ

読書一覧へ

Top Page