《アサルト13 要塞警察》★★★(2005年,アメリカ)


 詰まらないと言うほどひどくないけど,面白いと褒めるほどでもない,というなんとも中途半端なアクション・サスペンス映画。暇つぶしにはいいですが,それ以上でもそれ以下でもありません。

 要するに,大晦日の夜に大吹雪があって古い警察署(新年から新しい分署に引っ越すことが決まっている)には当直3人しかいないのですよ。その近くでギャングのボスとかを護送中の車が吹雪のために立ち往生してしまい,しょうがないのでその警察署に一晩,収容することになるわけね。そこに謎の武装集団が襲ってくるわけよ。

 最初のうちは,ギャングたちがボスを取り返しに来たのかと思っていたら,実はそいつらは警察官で,それまでギャングボスとつるんでうまい汁を吸っていた連中なんですね。つまり,裁判でそれをばらされちゃマズイ,ってんで口封じに殺しに来たわけですよ。

 警察署に立て籠もる側は人数が足りないから,ギャングのボス,そして彼と一緒に護送されていた5人(だったかな?)を監獄から出して武器を与え,外から襲ってくる武装警官たちの攻撃をくい止めて反撃する,という映画です。ちなみに,犯罪者たちと一緒に外からやってくる敵から身を守る,という設定の映画は他にもあり,特に目新しいものではありません。


 そこで,映画の主人公役の刑事(?)は以前は潜入捜査のプロだったけれど,自分の判断ミスから同僚を死なせてしまったという過去があり,それがトラウマになっている,という設定を持ち出します。そのトラウマからいかに立ち直るか,という物語を絡ませて物語に奥行きを出そう,という魂胆でしょう。ま,よくある設定ですな。

 ところが,主人公の引きずる過去が十分に描かれていないため(せいぜい,精神科医の女医さんとの会話で説明される程度),「男の復活のドラマ」としては弱いです。また,俳優さん自体が映画の主人公としてちょっと中途半端な感じじゃないでしょうか(俳優さんの名前,忘れちゃったけど)

 それに対し,ギャングのボスは渋くて格好いいです(俳優さんの名前,忘れちゃったけど)。主人公のキャラの弱さを十分に補っています。途中からどんどんいい人に見えてくるのが唯一の失敗ですね。どう見ても「冷酷無惨なギャングのボス」には見えません。


 襲ってくる側がなんだかモタモタしているため,途中でだれてきます。いくら警察署に立て籠もっているとはいえ,この建物は「あのボロ分署」と言われているし嵐で孤立しているんだから,一気に突入すればいいのになぜか攻撃がもたつきます。暗視野スコープを備えた狙撃チームまで準備しているのに,のんびりと攻撃してきます。

 あと見ていて気になるのは,立て籠もっている側の登場人物がばんばん殺されること。こいつ,いい奴じゃん,こいつは生き残って欲しいよね,という人がバシバシ殺されます。最後に主人公とギャング・ボスが生き残るのはいいとして,あと一人生き残るとしたらこの女性だよね,と思ってみていると,あっけなく額を撃ち抜かれて死んじゃいます。生き残るのはお色気過剰のお姉さんの方です。こいつは生き残らなくていいと思ったんだけどなぁ・・・。予想が外れました。

 それと,最後の最後に裏切る奴がいるとしたらこいつだな,というのが割と早く判っちゃいます。そして絵に描いたように裏切ります。サスペンスなんだから,もうちょっと捻れよ。


 あ,そうそう,重大なミス発見。「一晩中の猛吹雪の中で孤立する警察署」が舞台なのに,警察署の外に積もっているはずの積雪が,せいぜい10センチほどです。全然,大したことないよ。孤立するどころか,雪だるまだって作れないよ。こういうところで手抜きしちゃ駄目だよ。もうちょっと,丁寧に作ろうね。

(2006/09/28)

 

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