25歳男。
 2021年7月12日,「臀部から膿が出て止まらない」とのことで当院を受診。臀部正中に直径5ミリ強の開口部があり,ゾンデで探ると深さ6cmの瘻孔になっていたため毛巣洞を判断し,毛巣洞の病態について説明。
 7月16日,局所麻酔下に切開して瘻孔を全て切除。瘻孔内は毛で充満していた。創部は縫合せずにヘモスタパッドを創内に充填して手術終了。翌日からはズイコウパッドで治療。
 8月28日には小さな肉芽を残して上皮化したため,再発するようであれば受診するように説明し,通院終了となった。
 毛巣洞は若い男性の臀部正中に好発し,長時間の座位仕事をする人に多く(例:長距離ドライバー),また臀部は毛深い場合がほとんどであり,毛が物理的に迷入して瘻孔となったと考えられている。この症例も臀部の永久脱毛するようにアドバイスすべきだったかもしれない。

 ちなみに,一般的に毛巣洞は入院して全身麻酔で皮弁形成術などで創閉鎖します。10日くらいの入院が必要。

7月16日

7月17日 7月24日 7月31日

8月7日 8月21日 8月28日


 その後は毛巣洞の再発はなく,膿が出ることもなかったが,2022年3月7日,急に腫れてきたとのことで受診。3月9日,局所麻酔下に切開を行った。不良肉芽は認められたが,毛巣洞は確認できなかった。周囲の瘢痕組織を含めて切除し,アルギン酸塩被覆材で創内を充填した。

2022年3月9日:240日後


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