64歳女。埼玉県。
2015年10月31日,薪ストーブの中で燃えていた木が跳ねて衣服に当たり,引火し右前胸部〜腋窩〜上腕に熱傷受傷。事情があって2週間,自宅で様子を見ていたが,痛みがひどくなり,11月14日,〇〇医院を受診。△△病院を紹介され同日受診。直ちに入院が必要と言われた。11月16日,週に一度の形成外科の診察があり,緊急手術が必要で皮膚移植しないと命が危ない,と説明された。息子さんがネットで「熱傷 皮膚移植しない」と検索し,当科を発見。
11月16日,当科を受診。前胸部〜腋窩〜上腕内側に広い3度熱傷を認め,一部は黒色壊死であった。範囲の広い3度熱傷で全て上皮化するのに半年はかかるが,皮膚移植は不要と説明。創部の被覆は穴あきポリ袋で覆い,その上を吸収シートで覆う方式とした。壊死組織は数日後から誘拐し始め,11月30日にはほぼすべてが自然に取れた(外科的デブリードマンは全くしていない)。
2016年1月初めよりリハビリテーションを開始。
7月の段階で全て上皮化したが,腋窩の中心部が pit 状に陥没したまま上皮化し(恐らく,この部分だけ腋毛や肝腺などの上皮組織が残っていたために早期に上皮化したためだろう),瘢痕拘縮を生じたが,日常生活での使用には全く問題がないため経過観察している。
11月16日:前胸部 | 腋窩部 |
11月18日 |
11月25日 |
11月30日 |
12月8日:22日後 |
12月16日:30日後 |
12月22日:36日後 |
1月4日:49日後 |
1月13日:58日後 |
2月12日:88日後 |
3月4日:109日後 |
4月8日:144日後 |
5月6日:172日後 |
6月3日:200日後 |
7月8日:235日後 |
8月12日:270日後 |
【アドレス:http://www.wound-treatment.jp/next/case/hikari/case/1994/index.htm】