46歳男。
 40歳ころから糖尿病を指摘され,内服薬で治療中。糖尿病性腎不全のため昨年から人工透析開始となり,〇〇大学△△病院に通院している。
 今年9月中旬から右第5趾に靴ずれができ,同院皮膚科を受診。当初はユーパスタ,その後はゲーベンが処方されていたが,次第に第5趾が黒くなってきた。9月25日に皮膚科入院となり,1日3回,ゲーベンで治療開始。11月5日に下腿での切断が必要と言われ,整形外科に転科し,翌週,切断術を行うと説明された。
 知人の接骨医が「練馬光が丘病院では壊死した足も切断しないで治している。一度見てもらった方がいい」とアドバイスしてくれたため,11月17日,外出許可をもらって当科を受診。当科では,同様症例の治療経過の写真を見せ,糖尿病がよほど悪化でもしない限り,恐らく大丈夫だろうと説明。同日,〇〇大学△△病院は退院となった。
 右第5趾は基節部内側に黒色壊死を認めたが,外側は循環良好だった。レントゲン写真から,基節骨遠位で融解し,中節骨と末節骨がそのまま壊死組織の中に取り込まれた形になっていると判断。第5趾はプラスモイストで被覆して,乾燥を防いで壊死組織の自己融解を待ち,融解して浮いてきた組織だけを切除する,という方針で治療。抗生剤は投与していない。
 壊死組織は11月17日にほとんど取れ,この時点で基節骨が創内に露出していたが,気にせずに被覆を継続。12月12日には壊死組織はほとんどなくなり,骨も肉芽に埋もれた。2月6日には創はすべて閉鎖・上皮化した。第5趾は短縮したが,問題なく歩行している。

2014年11月11日 拡大 レントゲン写真

11月14日 11月17日 11月19日 11月26日 12月1日

12月12日 12月19日 12月26日 2015年1月9日

2月6日:87日後

2016年5月11日:547日後

2017年8月7日:1000日後


【アドレス:http://www.wound-treatment.jp/next/case/hikari/case/1228/index.htm】

左側にフレームが表示されない場合は,ここをクリックしてください