40歳男。
2012年2月に糖尿病の指摘を受け,〇〇病院でインスリン治療開始。その頃から左第1趾に潰瘍があり,糖尿病性壊疽と言われ,皮膚科と形成外科で治療を受けているが治らない。先週受診した際,骨髄炎と言われ,直ちに切断が必要と言われた。糖尿病性壊疽の治療についてネットで調べ,2012年8月1日,当科を受診。
初診時,左第1趾基節部足底側に直径12ミリの全層皮膚欠損があり(写真撮り忘れ),XPでは末節骨近位は融解していたが,局所の感染症状・炎症症状はなかった。また,深部に通じる瘻孔はなかった。少なくとも骨髄炎の状態ではないと診断し,何かあったらすぐに受診するように指導し,創部はプラスモイストで被覆するように説明。
初診から2年後の2014年8月4日,状態を見てほしいと受診。「2年間,何も起きなかった。プラスモイストを当ててから痛みが無くなり,普通に歩けるようになった。傷は治っていないが困ってもいない」とのことだった。直径8ミリの全層皮膚欠損を認めたが,炎症症状なし。創周囲の厚い角質を切除した。その後は受診していない。
2012年8月1日 | 2014年8月4日 |
この〇〇病院(埼玉県です)整形外科で「骨髄炎なので直ちに切断が必要」と診断された糖尿病性壊疽や難治性潰瘍の患者さんが何人も逃げてこられます。その中で骨髄炎だった患者さんは一人もいません。いずれも保存的治療で治っています。
逆に言えば,この病院の整形外科医はこれまで,誤診を元に下腿を切断しまくっていた,ということになります。恐らく,これからも「骨髄炎なのですぐに切断しましょう」と,骨髄炎ではない下肢を切ろうとするでしょう。これでも医者なんですから恐ろしいことです。
【アドレス:http://www.wound-treatment.jp/next/case/hikari/case/1010/index.htm】