1歳9ヶ月男児。福岡県在住。
 5月21日,アイロンで右手にヤケド。自宅近くの〇〇病院救急室で処置を受け,その後,久留米市内の▼▼病院形成外科に入院となった。熱傷が治癒しないため,頭皮からの植皮を受けたが,頭皮の採皮部の傷がいつまでも治らず,主治医からはTissue expander手術を薦められている。
 不安になり,ネットで熱傷治療について検索し,6月14日に福岡県から当科を受診した。

 その後,手の移植皮膚から見事に毛が生えてきたそうだ。

 それを見て,この形成外科医はこの手術ミスを更なる手術で覆い隠そうとして,ご両親にとんでもない提案をしているそうです。

  1. 手に移植した皮膚を剥ぎとって頭のハゲの部分に移植します。そうすれば,手に生えた毛が頭に移動するので,ハゲは治せます。
  2. 手の皮膚を剥ぎとったところには,別の部分から剥ぎ取った皮膚を移植します。
  3. 皮膚を剥ぎとったところは自然に皮膚が再生するのを待ちます。
 
 まともな知識のある形成外科医ならこんなアホな提案をしますか? このバカ医者,患者のことをオモチャだと思っているのでしょうか? この手術が絶対に失敗することに,なぜ気が付かないのでしょうか?

 手背に移植した「毛の生えた皮膚」を頭に移植するとどうなるか。毛は正常な頭髪の密度でなく,非常に薄い密度でしか生えて来ません。移植操作により,一部の毛根は必ず死ぬからです。その証拠に,「現在手背の移植皮膚から生えている毛」はチョボチョボ状態ということですから,いわば準ハゲ状態です。その「準ハゲ」を頭部に移植すると,毛の密度は更に低くなります。私の予測では,ほとんど毛は生えてこないか,生えても「波平さんの頭」程度のはずです。
 しかも,手背に移植した「毛の生えてきた皮膚」は最初の状態より縮んでいますから,採取時の面積より小さくなっています。つまり,頭のハゲを覆う面積はありません。これは形成外科のイロハです。
 つまり,手背の毛を頭部に戻しても,ハゲの治療にはなりません。
 要するに,この馬鹿医者様は「ハゲを治さず,体の別の部分にさらに傷をつけましょうね」と提案しているのです。まともな知識と経験と判断力を持っている形成外科医とは思えません。

 ちなみに,このお医者さまは今回の手術が,「生まれて初めて行った頭皮からの採皮」だったそうです。 それなのに,両親には「私はヤケドの手術は経験豊富です」と嘘を言っていたらしい。

 ちなみに,このアホバカ詐欺師医者は日本熱傷学会の専門医である。実に素晴らしい学会と言えよう。

【アドレス:http://www.wound-treatment.jp/next/case/tokyo/case/0046/index.htm】

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