52歳男。
 右頬部脂肪肉腫の診断で2012年8月30日から9月29日まで〇〇大学附属病院で重粒子線治療。現在まで再発はないが,放射線性下顎骨骨髄炎を起こし,下顎皮膚と口腔が交通し,下顎骨が露出した。その後,高圧酸素療法などを行ったり,同院皮膚科からカデックス軟膏が処方されたりしているが,全く治らない。食べ物で雑菌が入らないようにと絶食で胃管。幾つかの病院の形成外科を紹介されたが,遊離腓骨皮弁移植以外に治療法はないと説明されている。
 患部の痛みが強いことと,仕事にいつまでも復帰できないことで困っている。
 患者がネットで調べ,当科にセカンドオピニオンで2015年12月7日に受診。

12月7日

 次のように回答

  1. 下顎骨の骨硬化性骨髄炎を完治させた経験は1例ある。
  2. 上記にあるように,腐骨の切除,アルギン酸塩被覆材で創面を覆う,PGE1の点滴を1日2回行うのみで,治療としては簡単であり,歯科口腔外科のある病院ならどこでもできる。
  3. しかし,PGE1は歯科口腔外科では保険適応がないため,医科入院が必要。
  4. ただし,これで骨露出がなくなっても,口腔と皮膚の交通が塞がるかどうかは不明。
  5. 経口摂取させてもいい。経口摂取により感染が起こるとは思われない。
  6. 口腔と皮膚の交通まで治療するのであれば,遊離腓骨皮弁移植で下顎骨の再建と同時に皮膚欠損の再建をするしかないだろう。
 


【アドレス:http://www.wound-treatment.jp/next/case/hikari/case/2036/index.htm】

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