26歳女。東京都町田市在住。
 11月1日,お菓子作りをしていて溶かしたキャラメルが左手にかかり熱傷受傷。〇〇病院救急室を受診して軟膏とガーゼで治療。翌日,△△皮膚科クリニックを受診し,ユーパスタとガーゼで治療。以後,同クリニックに通院しているが,数日前,皮膚移植しないと治らない深いヤケドになったと言われた。その説明に不安になり,ネットで熱傷治療について検索。
 11月7日,当科受診。左手背撓側に白色壊死を認めた。局所麻酔下に十字型に切開し,ヘモスタパッドで創部を被覆。壊死組織の厚さは3ミリほどあった。翌日,出血がないことを確認した後,「穴あきポリ袋+母乳パッド」(勝手に鳥谷部先生のサイトにリンク)の治療法を説明した(治療に長期間かかることが予想されたため,最も値段が安い被覆材料を選択)。とにかく右手をよく使うように繰り返し指導した。
 治療開始から3ヶ月目の2月初旬に上皮化が得られたが,瘢痕拘縮はなく,右手を支障なく使っている。
 3月4日から肥厚性瘢痕に対し,ドレニゾンテープで治療開始。

11月7日 切開直後 翌日からのドレッシング 11月10日

11月14日 11月25日 12月5日(28日後) 12月10日
皮膚が生き残っていた

2014年12月19日 2015年1月7日(61日後) 1月21日(75日後)

2月4日(89日後) 2月4日
瘢痕拘縮なし
3月4日(117日後) 4月20日(164日後)

6月15日(220日後) 運動障害なし

7月15日(250日後) 8月12日(278日後)

  
9月25日(322日後) 運動障害なし    11月13日:371日後

2016年1月29日
448日後
3月8日:487日後 5月27日:567日後 7月29日:630日後

 初診時に白色壊死を全て切除せずに切開のみにしたのは,生き残っている皮膚付属器があったらいいな,という希望的観測から。この症例では1箇所,皮膚が生き残っていて,ここから上皮が進んだ。
 壊死組織を切除してしまうと,こういう「生き残っている皮膚」も切除してしまう可能性がある。

【アドレス:http://www.wound-treatment.jp/next/case/hikari/case/1224/index.htm】

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