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アテローマに硝酸銀? 2009/06/30(Tue)/投稿者: ○○

感染性アテローマを切開排膿したあと、アテローマ内腔に硝酸銀を押し当てている医師がいます。これって効果あるのでしょうか?
普通に内腔からモスキートなどで被膜を除去するなり,あとで根治手術するなりすればいいと思うのですが。。。




第35回熱傷学会総会  2009/06/06(Sat) /投稿者: くろ@名古屋

熱傷学会総会が終りました。
「炎の陶芸家」なる方が講演されていたのは、熱傷学会だけにシャレにならないと思われましたが、とてもよいお話でした。

僕自身は「私はこうしている」という主要演題の中で、広範囲熱傷に対するOpWTについての紹介と実演を行いました。従来の抗菌剤軟膏ガーゼ療法と比較して、創感染率は増えず、むしろ減少傾向であったことを示したところ、それなりの反響があったように思われます。熱傷学会で発表するのは初めてで、袋叩きにあうことも覚悟していましたが、杞憂でした。

同じセッションでは熱傷のラップ療法についての演題を出されている先生もいらっしゃいましたし、消毒は患者さんに痛みを与えるだけで何のメリットもないので水道水で洗浄するべきだと主張されている先生もいらっしゃいました。

形成外科の先生の中には少々苦言を呈する方もいらっしゃいましたが・・・

来年もさらにOpWTの症例を増やして発表できればと思います。

熱傷学会に参加された先生がいらっしゃいましたら、コメントしていただけるとうれしいです。




前脛骨筋腱完全露出の症例について 2009/04/27(Mon) /投稿者: たけ@血管外科

素晴らしい治癒の仕方ですね。と言いたいところですが、このぐらいでは最近驚かなくなりました(笑)。
木浪先生に是非お聞きしたいのですが、ASOがあり膝窩動脈以下に多発狭窄とのことですが、ABPIやSPPのデータはないのでしょうか。大学病院ですから当然そこまで検査していると思います。もしデータがあったら是非教えて頂きたいところです。
つまり創周辺にどれぐらいの血流があれば、肉芽増生が期待できるのかというところです。一般的にはSPP45mmHgと言われていますよね。個人的にはもう少し低くても大丈夫だと思っているのですが。この症例の足背部の皮膚の色調を診ると、比較的血流がいいと思います。つまり、ただASOがあるから、というだけでは創傷治癒が悪いとは言えず、その程度が問題だと思います。




ポリウレタンフィルムの新しい用法 2009/04/24(Fri) /投稿者: カネコ@北海道

 胸腔ドレーンを入れた時、当院では2−0ナイロン糸(以前は 1−0絹糸でしたが、ついにナイロンにしましたw)で皮膚固定するほかにさらに布絆でさらにテープ固定を追加しています。で、このテープにかぶれる人が多く、何か良い方法はないものかと考えていて思いついたのがポリウレタンフィルムで下貼りをし、その上からテープ固定です。
 これが意外と功を奏し、この方法にしてからのテープかぶれは激減しました。

 そこでさらに思いついた方法。田舎の何でも外科の当科では整形外科疾患も結構みます。大腿・下腿筋挫傷や背筋挫傷(要するに肉離れ)のテーピング固定なんかも結構行うのですが、テープかぶれがいつも悩みでした。これも固定部の下貼りにポリウレタンフィルムを使ってみるとやはりテープかぶれが激減しました。

 当然ポリウレタンフィルムの固定性は布絆やテーピングテープに比べれば劣ると思いますが、実用性では問題ないようです(テーピングでも十分痛みが取れるレベル)。もちろん、激しい運動をして汗をかいた時やお風呂に入るなどした時には効果が低下すると思いますが、一つの対策としてアップしておきます。




WOCの研修について 2009/04/20(Mon)/投稿者: mizu@埼玉

当院で初のWOC研修を終了したナースが誕生します。最終試験は5月とのことですが・・・。
WOC研修の内容は、基礎的な消化器外科的なことから、患者心理まで網羅した、それはそれは内容の濃い研修内容だったとのことでした。
でも、彼女から研修内容を聞いたのですが、そこにはラップ療法の「ラ」の字もなかったとのことでした。
すでに全国で行われているラップ療法について、創傷治療エキスパートであるWOCがラップ療法に関して講習を受けていないということはやはり奇異に思えました。
そのためにWOCとラッパーとの乖離が生じて現場に混乱が生じているのです。
そこで、私は今年度の褥瘡学会のラップ療法シンポにおいて、以下の点を希望事項として述べることにします。

  1. 褥瘡ガイドラインに、「食品用ラップや穴あきポリ袋を用いるいわゆるラップ療法は、この方法を熟知した医師の責任のもと適応と安全性を十分に考慮したうえでこれを施行してもよい」、という文が記載されること。
  2. WOCの教育カリキュラムに「ラップ療法への対応」という講義を加えること。
 以上の内容を学会側に働きかけることで、WOCと我々ラッパーとの接点が築かれるような気がしますが、いかがでしょう?
みなさんのご意見をお聞きかせ願いたいと思います。




割り箸事件考 2009/04/16(Thu)/投稿者:○○

私もこの事件はずいぶん追いかけてきました。で、民事の地裁判決が出た時に、これを取り扱ったTVのキャスターが言った言葉に苦言の投稿を出したことがありますので再掲します。

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曲がりなりにも救急に関わる人間にとっては「thinking worst scenario(最悪のシナリオを考える)」という言葉は金言だと思います。が・・・、これはあくまで「通例考え得る疾患に関して」という意味じゃないでしょうか?

 例えば、膝が痛いと言って来院した患者さんが心筋梗塞であるとは通常想定しないわけです。もしそのようなものまで「最悪のシナリオ」ですべてチェックしなければならないとすれば、あらゆる患者さんに対して考え得るすべての検査を行わなければなりません。  足の爪が痛いという人にも胃カメラをやりますか?髪の毛が抜けるという患者さんに腹部動脈造影をしますか?
 あるいはそこまで言わなくても風邪を引いて咳が出るという方は肺癌かも知れないから全例胸部CTをとりますか?

 これに異を唱えた方がいらっしゃいます。
http://www.j-cast.com/tv/2008/02/13016598.html
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1999年に割りばしがのどに刺さり死亡した杉野隼三ちゃん(当時4)。民事訴訟の判決で、医師の過失は認めた刑事判決(無罪)とはまったく逆の「医師に過失はない」との判断が示された。

この事件は、医師の業務上過失致死罪が問われ刑事裁判にもなっている。2006年の東京地裁判決では「事故を予見し、結果を回避する義務を怠った」と、医師の過失を認めながら「命が助かる可能性は低かった」と無罪判決が示された。検察側が控訴中。

民事では隼三ちゃんの両親が、杏林大医学部付属病院と担当医師(39)に8960万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こしていた。

きのう(2月12日)の判決では「当時の医療レベルでは(頭蓋骨内の損傷を)予見できなかった」と、医師の過失を認めた刑事判決とは逆の判断を示した上で、請求を棄却する判決を示した。

小倉は「割りばしの長さって、今も昔も変わらない。その寸法からいって、ヒョッとしたらと考えそうなものですがね」。さらに「医療の現場は、最悪のケースを想定しなければいけないんじゃないですか」と訴えた。

小倉が指摘する通り、法律そのもの、法律に基づいて判断する裁判官も、時代共通の『社会通念』を無視した判断はできないと思うのだが、医療現場は別世界というのか?

隼三ちゃんの兄、雄一さん(20)は「この9年間を否定され、ゼロに戻った判決で悔しい。生前の隼三が『悪と闘う』みたいなことを言ったのが最後に聞いた言葉。隼三ができなかったことを頑張りたい」と、法律家を志しているという。両親は控訴する考え。
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 この小倉氏は完全に「thinking worst scenario」の概念を誤解されています。当時の常識で「喉に刺さった貪的異物が頭蓋内に刺さることは通常考えられない」でした。実際日本で「杏林割り箸事件」以外にこのような症例の報告はありません。まともな医者であればあるほど、こういう状況は想定外になります。喉から刺さった鈍的異物は頭蓋骨にハネ返されてしまう、と考える医師の方が正常です。
 1999年にこの事件の話を初めて新聞で読んだ時、「え?そんなことがあり得るの?」というのが私の感想でした。
 今現在であれば、割り箸事件のことを知らない医師はいないでしょうから、想定の中に入るかも知れませんけど。

 しかし仮に診断をつけれたとして、どうやってこの患者さんを助けるのでしょう?頸静脈孔という穴には名前の通り内頸静脈という血管が走っています。何もしないで割り箸を抜いたら大出血です。半端でないぐらい出ます。麻酔科研修をしていた当時、ここの損傷を見ましたが、わずか5秒で120あった血圧が60代に下行して大あわてしたことがあります。1分ほどで吸引機に吸われた血液が1リットルを超えました。

 じゃあ、静脈をしばってから抜けばいいって、この静脈は骨の中に囲まれてますよ。どうやってしばります?

 骨を切ったり削ったりしてからしばればいいだろって、でも、しばったら動脈から血液が送られるけど帰り道が無い状態になりますよ。脳がパンパンに腫れてしまいますけど(実際この患者さんの死因はそれです)

 じゃあ血管をつなげばいいだろって、静脈はバイパスしてもすぐ詰まってしまいますよ。しかも、不潔なものが一旦通った血管はつないでも縫合不全になりやすいですよ。私の数少ない論文に「気管腕頭動脈瘻の一救命例」ってのがありますが、その中でも汚いところで縫合した血管はすぐ破れてしまうと言う検証をしてます(破れれば当然大出血)。

 結局、この患者さんはどうやっても助からなかったんです。仮に診断したとして「あなたのお子さんは絶対助かりません。今から24時間以内に亡くなります」と言えば良かったんでしょうか?

 医療には

  1. 人間の知的限界
  2. 社会の経済的限界
  3. マンパワーの限界
  4. 時間の限界
  5. 患者さんそのものの生命的限界
などいくつもの制限要因があります。それを越えるものは助けられないと認識して欲しいものです。

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ゴッドハンド輝 TV版 2009/04/11(Sat)/投稿者: Y2

本日からテレビで放送されるようです。
http://www.tbs.co.jp/god-teru/

夏井先生仕込みの創傷治療のシーンはあるのかな?




塩化ベンザルコニウムについて 2009/04/02(Thu)/投稿者: サカ@vet

当院では尿道カテーテルを入れる際、カテーテルや尿道周囲を塩化ベンザルコニウム液に浸したガーゼで濡らしてから手技を行っています。塩化ベンザルコニウムのボトルの保存状態も良いとは言えません。

夏井先生の記事を読んで、塩化ベンザルコニウムの使用をやめるようにしたいと思っています。塩化ベンザルコニウムによる感染報告の資料などあったら、より強く中止を求められると思って探してみましたが、見つけられませんでした。 そういう報告をご存知の方、ご教授ください




「ケア」主張退け元看護課長に有罪 2009/04/01/投稿者: 水野@尼崎

この判決は非常に残念に思います。

認知症患者の爪はがす、「ケア」主張退け元看護課長に有罪
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090330-00000339-yom-soci
魚拓
http://s01.megalodon.jp/2009-0330-1402-21/headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090330-00000339-yom-soci

被告となってしまった看護課長さん、看護師の皆さんが普通にやっているであろうフットケアをやったら傷害罪の罪人にされてしまいました。

詳細はこちらをご覧ください(動画リンクです)。
http://www.tv-asahi.co.jp/scoop/update/asx/scoop_080518-01_0300.asx

ザ・スクープ(テレビ朝日)
http://www.tv-asahi.co.jp/scoop/
特集「看護師は患者の爪をはがしたのか…“虐待事件”の真実」
http://www.tv-asahi.co.jp/scoop/update/special_back/20080518_010.html#movie




会陰部ガス壊疽の経過です 2009/03/10(Tue)/投稿者: 夏井@管理人

症例の経過写真は○○で見られます。