掲示板での討議に参加希望の方は,
氏名,所属病院,診療科(医師の場合),所属病棟(看護師の場合),連絡先を明記してご連絡ください。

Top Page


[1288]ノイロトロピンの点滴 投稿者/夏井@管理人 [HOME] 投稿日/2008年06月12日(木)

 ここ数日話題になっている「整形外科で点滴後に女性死亡、11人入院 三重・伊賀」についてですが,私がもっとも気になったのがノイロトロピン点滴です。今までノイロトロピンといえば内服薬だと思っていたため,ノイロトロピンって点滴もあるのか,へぇ,と驚いてしまいました。そこで,「ノイロトロピン点滴」について周囲の医者たち(整形外科医を含む)に話を聞いてみました。

 皆様はいかがお考えでしょうか。




[1294]恵比寿の点滴専門スペース 投稿者/○○ 投稿日/2008年06月21日(土)

創傷治療と関係ないネタですみません。
すでにこのBBSでも話題になっていたような気もしますが、今日ふとYahooを開くと「疲れた体に10分点滴リポート」とあり、東京・恵比寿の点滴専門スペースについて称賛する記事がありました。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080621-00000017-nkbp_tren-ind

脱水もない、疾病もない、経口摂取可能な方へのビタミン剤点滴が疲労回復には最適と・・・
医学的根拠が全くない、むしろ点滴の合併症を考慮すれば有害とも言えるこの行為が一般の方には大人気のようですね。
これでは「風邪」の際に点滴を希望する患者も減るどころかむしろ増えることでしょう。

この治療(?)を主導している医師もその医学的根拠がないことは重々わかっていることでしょう。
逆にその医師の立場に立ってみると、

   風邪のときの注射は医学的意味はない
   →いくら説明しても患者はわかってくれない
   →注射しなければヤブ医者と言われたり
   →やってられねー
   →ん?これだけ注射・点滴のニーズがあるなら・・
   →これは商売になる?
   →注射・点滴の効果は絶大だと売り出してしまえー!

という感じでしょうか。
今は荒稼ぎできているようですが、そのうち何らかの合併症が起こり利用者も医師も大変な目に合うことが予測できますね。




[1291]「手拭タオル」は悪者か? 投稿者/QP 投稿日/2008年06月14日(土)

「整形外科で点滴後に女性死亡、11人入院 三重・伊賀」の記事では、「使い捨て紙タオルでなく、布タオルを使い回し」とありました。
 「1枚のタオルを大勢で使い、湿ったままになっていた事が悪い」が、正確な指摘だと思います。当院では、MRさんがくれたフェイスタオルを4つに切って、手洗い後の手拭として使っています。何枚も積み重ねておき、1回手を拭いたら、再使用せず洗濯しています。外来だけのクリニックですが、1人診察したら必ず手を洗いますので、紙タオル代も馬鹿になりませんのでかなりの節約になっています。感染対策上何の問題もないと思っているのですが、皆様いかがでしょうか。このまま、報道を放置していると、布タオルが悪いといわれるような気がします。




[1293]TAKA先生にの質問に対して 投稿者/北診療所 菅野 投稿日/2008年06月16日(月)

長くてわかりにくくなったため、Taka先生の「点滴を望む患者さんに対する対処」について、別のスレッドにします。
僕の経験のお話より、別のスレッドで紹介させていただいた、

http://square.umin.ac.jp/masashi/0case4.html
に載っている議論の方が何倍も参考になると思います。




[1292]ガーゼ礼賛とガーゼ障害性 投稿者/QP 投稿日/2008年06月15日(日)

 しばらく、板から遠ざかっていた者です。最近、 某総合病院から自宅療養になった方を引き受けました。 15歳女性で、心臓の障害から心停止、脳の不可逆的障害で寝たきりで意思表示がほとんどできない状態です。親御さんが、病院でいろいろ教わっていて、気管切開・胃瘻の設置部位は、イソジン消毒・Y型切込みガーゼをきっちりはさんでいます。病院では医療費にできていて負担がゼロだったものが、在宅だと自費請求になってしまうのが、喀痰吸引チューブ・チューブで吸引するたびに浸すための消毒薬・ガーゼです。気管切開部・胃瘻のY切り込みガーゼ・イソジンを納得してもらいながら他の経済的方法に切り替える手立て(具体的方法、説得に役立つ資料など)御存知の方ありましたらお助け下さい。

親御さんは、気管切開部・胃瘻設置部の瘻口が乾燥しきっているのを理想と考えています。また、15歳の女の子ですので、見栄えをとても気にしています。




[1289]点滴の適応 投稿者/北診療所 菅野 投稿日/2008年06月13日(金)

長くなりましたので、別名にして書いてみました。
この「点滴でセラチア感染」の件はいろいろなメーリングリストで話題となっています。
そのコメントで興味深い議論が紹介されていました。

http://square.umin.ac.jp/masashi/0case4.html

かなり深く考えさせられる議論であり、参考になると思います。




[1287]調剤薬局の抵抗 投稿者/hongmei 投稿日/2008年06月04日(水)

今年度から院外処方でジェネリック医薬品の薬剤師による選択が可能となりました。それに関係しているかどうかはわかりませんが、湿潤治療に対する院外調剤薬局の薬剤師からの抵抗が続けて起こりましたのでご報告申し上げます。

当科で「プロペト」を傷に塗る様に処方し、院外処方箋発行。患者さんが調剤薬局に行くと
●事例1.「あの薬は傷に塗ってはいけない」と言われたとのこと。患者さんは塗布されず。
●2.「あの薬は傷に塗ってはいけない」と言われ、別の薬剤を買わされて(怪しい赤色のクリーム)それを塗っていた。

院外の薬局では傷の外用薬についてはまだまだ消毒液などを勧められる事は多いと思います。薬剤師の教育も必要と感じた次第でした。




[1285]爪下血腫再び 投稿者/カネコ@北海道 投稿日/2008年05月31日(土)

爪下血腫の治療に関しては夏井先生の
http://www.wound-treatment.jp/next/wound213.htm
これでほぼ決まりかな〜という感があったんですが、個人的にはやや不満がありました。

  1. 出来れば局所麻酔はしたくない(しないで済むなら。子供の症例もありますしね)
  2. ナイロンドレナージ(ハイドロサイトつき)をしても血腫再発例があった・・・汗
 で、考えたんですが、血腫再発するのは何故でしょう?これは簡単でドレナージホールが詰まるからです。じゃ、なんでドレナージホールが詰まるかというと、これは乾燥傾向になるからじゃないかな・・・と。つまり、浸出液や線溶した血液(線溶してなければいくら穴が空いても血腫はドレナージされない)の粘度が上がる為に、あるいは乾燥してcrustになる為にドレナージホールが詰まるとは考えられないでしょうか?

 ハイドロサイトでもプラスモイストでもシングルパッドでも創面はある程度乾燥方向へ持って行かれます(そう言う目的のものだし)

 んじゃ、いっそ穴を開けたあとフィルムドレッシングで覆ってみたらどうだろう?

 んで、現在3例施行してみました。今のところ1例も詰まってません。もちろんナイロン糸も入れてません。穴を開けたのは18G針です。

 いかがでしょう?




[1284]リンデロンVG軟膏を希望する下腿潰瘍患者 投稿者/hongmei 投稿日/2008年05月24日(土)

当科の前任者はなぜか下腿潰瘍患者(静脈鬱滞性)にリンデロンVG軟膏を処方しているケースが多く、私が赴任してからワセリンに替えようとしましたが、なぜか「あの薬(ワセリン、プロペト)では痛くなる」「前の薬が効いている様な気がする」と元の薬剤(リンデロンVG)への再変更を求められます。臨床所見上潰瘍の変化を認めません。
鬱滞性皮膚炎に対して多少ステロイド剤が効いているためか、基剤の伸びがよいため塗り心地で選ばれているのか、このまま投与し続けてよいものか迷ってます。

皆様対処法(どうせどっちも効いてないのだから患者さんの意のままでよい、も含めて)をご存知でしたらご教授ください。




[1268]動物咬傷の縫合について 投稿者/yamamoto@研修医 投稿日/2008年04月08日(火)

夏井先生の動物咬傷の治療例を拝見しました。
これまで救急外来で動物咬傷をおそらく20-30例ほど診てきました。動物咬傷ではよほど浅い傷でない限り、ほぼ全例でドレーン挿入+予防的抗菌薬投与をしてきました。動物咬傷の場合、創が何カ所かに及ぶことも多いと思いますが、ドレーンを入れるかどうか迷って、入れなかったところが感染し、入れたところは感染しなかった、という経験を何度かしています。自分で客観的なデータをしっかりととっていなかったのが残念ですが、やはりドレナージの効果が大きい印象があります。
先日、顔面を打撲し、自分の歯牙で下口唇を貫通した症例(これも動物咬傷ですよね)を経験しました。皮膚側のみ縫合し、口腔内側をオープンにして、抗菌薬を処方しようと思いましたが、その方は過去にいろいろな薬で強いアレルギーの既往があったため、抗菌薬は処方せずに経過を追いました。縫合1日目はやや腫れが強くなっていましたが、縫合2日目には腫れは改善し、その後は問題なく経過しました。経過中は抗菌薬含有軟膏類を含め、抗菌薬は一切使用しませんでした。おそらくオープンにしていた口腔内側へうまくドレナージがされていたため感染しなかったのではないかと判断しています。




[1279]母指と小指の遠位部背側に対する指ブロックの方法 投稿者/yamamoto@後期研修医 投稿日/2008年05月12日(月)

指の場合、末節部と中節部の背側面には掌側指神経の背側枝がまわりこんで知覚を支配しているとこれまで認識していました。
最近ある解剖の教科書を見ていたところ、母指や小指の場合は、指の遠位部背側を支配しているのは背側指神経であって、掌側指神経の背側枝ではないというような記述(図)をみつけました(常識でしたらすみません)。

こういう指による解剖の違いについて、いままではあまり意識せずに指ブロックを行っていました。麻酔の効果が少ないと思った場合には背側のブロックをしたり、創部から直接局麻を追加したりして対応してきました。

それで指ブロックについていくつかお聞きしたいことがあるのですが、

  1. もし小指や母指の遠位部背側に麻酔を効かせたい場合、掌側のブロックだけでなくはじめから背側のブロックを併用した方がいいのでしょうか。
  2. 掌側のブロックをせずに背側のブロックだけでも同部(小指と母指の遠位部背側)に麻酔をすることは可能でしょうか。
  3. また、足趾のブロックの場合、底側のブロックに加え、背側ブロックを併用されていますでしょうか。
母指はともかく、小指の麻酔についてはあまり意識してこなかった(掌側のブロックだけでもあまり困らなかった、もしくは小指の傷を診る機会がなかった?)のですが、いままで何となく麻酔をしてきてしまったのかもしれません。
先生方が普段されている麻酔方法などと合わせてご意見を頂ければと思います。よろしくお願いします。




[1278]第一回創傷ケア研究会記念講演会 参加者募集 投稿

[1283]日本外科学会教育集会 投稿者/たけ@血管外科 投稿日/2008年05月16日(金)

長崎で開催された日本外科学会における教育集会での講演を聞いてまいりました。生涯教育講座の中での創傷治療という枠での講演でした。その前には、顔面外傷、爪、ケロイドなどのセッションがありました。爪のセッションでは、形成外科の先生の発表でしたが、爪の外傷では基本的に植皮術が望ましい、保存的治療でも治せるが手術を勧めるといった内容でした。保存的治療で治った症例の写真が出ていましたが、外科医の私にとっては非常にきれいな指でした。

夏井先生のセッションでは、会場は8〜9割方埋まっており、立ち見で聞かれている先生もおられました。座長は外科学会におけるSSI研究会のトップの先生でしたが、夏井先生の講演が終わった後「これまでCDCのガイドラインにのっとって、自分が認識していたことを根本的に覆され、いま頭の中が混乱しています」と言われたのが非常に印象的でした。夏井先生がいつも言われてあるように、CDCのガイドラインが絶対という考えで始まっていること時代が間違っているのだとつくづく思いました。質問時間は5分でしたが、かなりの数の先生が次々と質問され、その後も夏井先生に質問される行列ができているほどでした。

日本外科学会の教育講座でこのような話題が取り上げられ、しかもSSIを中心になってされている先生からこのような発言があり、非常に有意義な講演だったと思いました。




者/さんちゃん先生  投稿日/2008年05月08日(木)

「第一回創傷ケア研究会記念講演会」
日 時  平成20年6月28日(土) 18:00〜20:00
場 所  安保(あぼ)ホール  6階大会議室601号室
名古屋市中村区名駅3−15−9 TEL:052−561−9831 
参加費  1,000円(資料代+会場整理費として)

第一部 褥創と創感染
18:00 DVD上映「褥創が治った!」
18:15 製品説明「チエナムのご紹介」  万有製薬 学術
18:30 〜18:40  休憩

18:40  第二部 創傷・褥創ケアの発展
     座長  きよすクリニック 院長 伊藤 喜亮 先生
     演題1 「新しい創傷ケア」
   石岡第一病院傷の治療センター センター長 夏井 睦 先生
  座長 藤田保健衛生大学皮膚科学教室教授 松永 佳世子 先生
  演題2「進化を続けるラップ療法―開放性ウエットドレッシング
      療法OWT−」
      相澤病院褥創治療センター 鳥谷部 俊一 先生

19:45〜19:55  質疑応答 
19:55  閉会の挨拶 大西 山大 先生(福友病院)
20:00  第三部 情報交換会 (7階小会議室701号室)
共催  中部臨床栄養研究会 / 万有製薬株式会社
世話人  伊藤喜亮(きよすクリニック院長) 大西山大(医療法人福友会福友病院形成外科)

参加者対象:医師および、看護師、薬剤師ならびに栄養士を初めとしたコメデ ィカルの方々(約50名予定)。
応募のメールアドレスは,woundcare2008-628@yahoo.co.jp よりお受け致します。参加希望の方は、メール内に氏名、所属、職種、参加人数を記載して下さい。折り返し、確認メールをお送り致します。
誠に恐れ入りますが、Eメールでの募集受付は、準備の都合上、5月18日(日)からとさせていただきます。奮って御参加いただきます様、何卒宜しくお願い致します。




[1281]どこがちがう? 投稿者/カネコ@北海道 投稿日/2008年05月13日(火)

 本日の植皮理論を見ましたが、私には先生の理論でのパッチグラフティングとメッシュグラフティングの違いが分からないです。

 島状に上皮細胞を置いてくる、肉芽面を残す、その後湿潤環境を保つと言う点ではメッシュグラフティングで同じ事をやっても大差ないように思えますが、何が違うんでしょう?




[1277]従来の創傷治療(軟膏療法)を教えるべきか  投稿者/hongmei 投稿日/2008年05月01日(木)

私の所で育つ研修医達はゲーベン、ユーパスタ、フィブラストスプレーなどの創傷治療用外用薬を全く知らずに研修期間を終えます。
果たしてこれでいいのか?他院へ就職した時に「おまえそんなものも知らないのか?」といじめられないか、ちょっとだけ心配です。後期研修の間も先輩達にはなかなか逆らえないと思われます。
ちらっとでもいいから従来治療法を教えるべきかどうか、悩んでます。しかし患者さんに使う事はないので使用感などはわからないでしょう。

指導される立場の皆様はどうなさっていますか?
また、現在研修医の先生はいかがですか?




[1275]退院すると悪化する下腿潰瘍 投稿者/hongmei 投稿日/2008年04月30日(水)

例でご相談です。
70代、女性。軽微な外傷から下腿潰瘍が出現し、難治性となりました。入院の上植皮を行い、植皮片は問題なく生着しました。周囲に小範囲の潰瘍を残して退院。ところが退院すると植皮片と健常皮膚の境界部の潰瘍は拡大し、再入院。湿潤治療で縮小し、退院。しかし、退院すれば潰瘍は拡大し、再入院、を繰り返しています。
現在のところ、糖尿病、PAD、膠原病、静脈鬱滞は否定されています。入院中湿潤治療にはよく反応します。自傷という線はありますが、可能性は現在の所低いと考えます。
難治の原因について皆様のご意見を賜りたいと存じます。




[1276]挫滅の高度な下腿骨折で皮膚壊死を起こした症例 投稿者/カネコ@北海道 投稿日/2008年05月01日(木)

本日の投稿を見て思ったこと。

>そういう傷はすぐにふさがないと駄目だ,骨髄炎になると患者さんの家族を説得し・・・
 こういうことを言う先生、外固定で消毒もしていない症例が骨髄炎を起こさないことをどうやって説明するのか、是非聞いてみたいw。




[1274]4月22日の更新履歴を拝見して  投稿者/hongmei 投稿日/2008年04月23日(水)

私は形成外科医ですが、「植皮をすれば傷がきれいになりますよ」なんて言葉は一度も発した事はありません。嘘になりますから。患者さんの「きれいになる」の意味は「病気や怪我が起こる前と同じ状態」です。
そんな事を言っているのは形成外科に紹介した植皮術をした事がない医師ではないでしょうか?

患者さんから「皮膚を移植すれば傷はきれいになるのではないか?」というご質問をよく受けますが「きれいになりません」と答えます。




[1273]自閉症児と創傷治療 投稿者/自閉症児の母 投稿日/2008年04月22日(火)

6歳になる長男が自閉症なのですが、遊んでいるときにテーブルの角にぶつけて額に1.5センチほどの裂創を作ってしまいました。出血も結構ありましたし、家族はすぐに縫合してもらって来いと言いましたが、本人も痛みと出血で大パニック、大人が押さえつけても体の動きは止まりません。これで局所麻酔が効いたとしても、針を持った医師を見れば騒ぎ出すのは想定内でした。(ブラックジャックならできるかもしれませんが)
そこで、家にあった医療用の紙テープ、ハイドロコロイドドレッシングを使い何とかしてみようと、家族に協力してもらい治療開始。裂けた皮膚をくっつけるようにしてテーピング、そのあと被覆剤を貼っておしまいです、この間、1分以内、ぐっと押さえつけたのは10秒以内だったはずです。
ここからが、すごかったんです。あれほど大騒ぎしていた子が、被覆剤を貼ったとたん、泣きやんだんです。(何貼ったの?といった感じで被覆剤を触っていましたが)嘘じゃありません。もちろん、普通に考えればハイドロコロイドは出血があるときの適応ではないでしょうが、ひとまず痛みがおさまり、血が垂れてくることもなくなりパニックはおさまったんです。
そしてその後も、別の被覆剤を使いながら素人治療で傷は完治しました。気になった傷跡も、ようやく目立たなくなり、やっぱり縫った方が良かったんじゃないかと家族から非難されることもなくなりました。
確かに、皆で力いっぱい数分間押さえつけていればどうにかなったかもしれません。でも、パニックになったときの子供の力は予測がつかないほどです。あのときは、この選択をして良かったのだと思いますし、被覆剤の威力を改めて認識できました。自閉症には皮膚の接触過敏というのがあり、絆創膏を貼られるのが嫌だったり、靴下が履けない、などの問題があります。
息子は絆創膏がとにかくダメだったのですが、この一件で絆創膏拒否がなくなりました。一瞬にして痛みが消えると言うのが伝わったんでしょうね。貼るものは嫌だけど、痛みが消えた事でそれを受け入れてくれたのかもしれません。本当に助かりました。
ちなみに、その後、近所にこちらの登録医の先生が開業されていることを知りました。今度からは、そこで治療を受けようと思います。




[1271]10年間皮膚掻痒症にオイラックスクリーム 投稿者/夏井@管理人 [HOME] 投稿日/2008年04月15日(火)

先日,福島先生から「10年間皮膚掻痒症にオイラックスクリームを・・・」という症例の投稿をいただきましたが,この症例報告については,下記のようないろいろな考え方があると思いますが,いかがでしょうか。




アルギン酸自体が効いている可能性は? 投稿者/iMac 投稿日/2008年04月15日(火)

>「アルギン酸塩被覆剤がない場合,カルシウムイオンを含む液体を浸したパットなどで圧迫すると、止血に関しては同じような機序での出血のコントロールが可能になるのでしょうか。」

局所止血剤でアルトという商品があります.成分はアルギン酸ナトリウムです.
白色の粉末で,アルトシューターという噴霧器を使って出血部位にふりかけると止血効果を示すという代物です.
婦人科では子宮頸部の生検を行った後の出血に対して使用します.
詳しくは下記添付文章をお読み下さい.

以前から気になっていたのですが,もしカルトスタットなどのアルギン酸カルシウムの止血効果がカルシウムイオンのみによるものであれば,アルギン酸ナトリウムであるアルトは全く効果がないということになります.
たしかカルトスタットを製造する際にも天然の海草(種類は忘れましたが‥‥)から抽出したアルギン酸ナトリウムのナトリウムイオンをカルシウムイオンにわざわざイオン交換していたような記憶があります.

カルトスタットの止血効果の機序として
  1. アルギン酸自体の作用
  2. カルシウムイオンの作用
の両方が考えられるということはないでしょうか?複合的に効いているのだとは思いますがどちらかというとアルギン酸自体の作用のほうが主ではないかと考えます.

もうひとつ,以前は手術直後の創面にカルトスタットを使用していましたが(あくまで趣味で‥‥もちろん保険は通りません),最近は手術室でカラヤヘッシブを何も言わなくても出してくれるのでそのまま貼り付けています.
印象としてはカルトスタットを使っていたときの方が切開傷の肉牙形成が速いような気がするのですが,アルギン酸にそのような作用はあるのでしょうか?




[1269]速乾性手指消毒薬 投稿者/zui 投稿日/2008年04月10日(木)

当院では、外来や病棟で医師、看護師は患者さんに触れるごとに(暇さえあれば)、速乾性手指消毒薬(どろっとしたエタノール製剤です)を手に刷り込むこと、となっています。感染制御部からの指示ですが、消毒薬のボトルに日付の線をいれながら減り方をチェックし、減りが遅いとペナルティを課すとか課さないとか。導入前の説明時に私は、「手あれがひどい人は余計にひどくなり、かえって黄色ブ菌ほか感染起因菌が増えて、院内感染防止策としては逆効果になるのではないか」と質問しました。「それでは手あれのひどい人はクリームなどのスキンケアを別途考えましょう」という訳の分からない方向の回答となり、病院全体で導入されているのが現状です。
速乾性手指消毒薬を全否定するつもりはなく、手術前の手洗いには有用だろうと思っています。ちなみに当院の手術前手洗いは水道水によるスクラビング法で、ブラッシングは手指先の爪の間のみ一日に一回だけ、最後に速乾性エタノール製剤を刷り込むこととされています。かつてはすーっとして気持ちよいという理由で、自分も回診時などに頻回に刷り込んでいました。
それにしても、消毒薬の減り具合が遅いのは感染予防を怠っている悪者、というような短絡的発想はどうかと思います。
私自身は外来や回診時でも頻繁に水道で手を洗いますし、処置にはディスポ手袋を使用しますので、速乾性手指消毒薬はほとんど使用しません。指先がかさつき始めると、ワセリン刷り込み法でケアします。手荒れはなく、男の外科医にしてはきれいな手だと自負しています。
この速乾性手指消毒薬、皆さんの施設ではどのような位置づけにしていますか。




[1270]ループ型ナイロン糸ドレナージ 投稿者/夏井@管理人 [HOME] 投稿日/2008年04月11日(金)

本日(4月11日)の更新で,伊藤先生からの「ナイロン糸ドレナージの工夫」を紹介しましたが,早速やってみました。猫咬傷のドレナージと下腿開放骨折後の難治性瘻孔(深部にプレートが触れる)にそれぞれ3-0ナイロン糸をループにして入れて見ましたが,簡単に入りましたし,痛みもないようです。

なお,伊藤先生はナイロン糸を結んでいらっしゃいましたが,色の根元を小さく切ったステリでまとめてみましたが,これでも大丈夫な感じです。




[1265]尿素クリームは皮膚を溶かして破壊するのか? 投稿者/Terry 投稿日/2008年03月29日(土)15時13分

今回,尿素クリームについて勉強させてただきました。よい勉強のきっかけをいただいて感謝しています。
ただ,私には,やっぱり尿素クリームは皮膚を溶かして破壊するほどの害があるとは思えませんでした。

目的
最近,クリームは皮膚に害があり,それ以上に有害なのが尿素であることがほぼ断定できたという報告が発表された(1)。この報告によると,「尿素クリームは皮膚を溶かしているとしか思えない破壊力を持っているようだ」と結論されている。もしこれが事実であれば,市販のハンドクリーム,特に尿素クリームを購入して使用している人たちに,皮膚の障害がおきていることが予想される。

PubMed で検索した尿素クリームの効果を調べた臨床研究のうち,アブストラクトに有害事象について記載がある報告(2-4)をみると,これらの報告では 4%-10%尿素クリームを 28日-7週間外用した症例について検討されており,有害事象については皮膚のぴりぴり感の記載があるのみで,皮膚を破壊するような記載はされていない。また,20%尿素含有クリームであるケラチナミンコーワ軟膏20%(R)の市販後調査でも,調査症例数4864例中,ぴりぴり感 1.71%,紅斑 0.86%,掻痒感 0.60%,疼痛 0.43% となっており(5),皮膚が破壊されるような記載はされていない。

以上のように,これまで報告されている文献から判断すると,尿素クリームの障害性は,皮膚を溶かして破壊するほどのものではないと考えられるが,実際に尿素入りハンドクリームを使用している一般の人たちの皮膚が破壊されているかどうか,皮膚の状態を観察して調べることにした。

対象症例
手の皮膚疾患とは関係ないことで当皮膚科を受診された女性患者さん,および小児の患者さんの母親で,そのうちハンドクリーム使用について情報を聞き得た人。

調査期間
平成20年3月24日から3月29日

判断基準
鱗屑(S)

紅斑(E) 角化(K) 亀裂(F) 結果
総症例数 23名(皮膚とは関係ないことで受診された患者さん 13名,子供のお母様 10名)
・ハンドクリームを使用していない(N)7名
  S:1 2 0 0 0 0 0
  E:0 0 0 0 0 0 0
  K:1 1 0 0 0 0 0
  F:0 0 0 0 0 0 0
・尿素クリーム使用(U)6名
  S:1 1 0 0 0 0
  E:1 0 0 0 0 0
  K:1 0 0 0 0 0
  F:0 0 0 0 0 0
・尿素の入っていないクリーム使用(C)9名
  S:1 1 1 1 0 0 0 0 0
  E:0 1 1 0 0 0 0 0 0
  K:1 1 0 0 0 0 0 0 0
  F:0 0 0 0 0 0 0 0 0
・尿素入りかどうか不明のクリーム使用(X)1名
  S:0
  E:0
  K:0
  F:0


考察
もし尿素クリームが皮膚を溶かして破壊するのであれば,尿素クリームを使用している人の皮膚は破壊されているはずである。しかし,今回の調査では,全ての群で鱗屑,紅斑,角化,亀裂のスコアは0が多く,特に尿素クリーム使用者の皮膚が破壊されているという様子は確認できなかった。症例数は少ないが,尿素クリームの有害性は皮膚を溶かして破壊するほどではないという,これまでの文献報告を支持する結果と考えられた。もちろん,尿素クリームがすべての人に有害ではないと断定する結果ではないので,使用していて悪化した場合,あるいは症状の改善がみられない場合は,使用を中止すべきと考えられる。

文献
1) 夏井 睦. http://www.wound-treatment.jp/next/jikken010.htm
2) Buraczewska, et al. Br J Dermatol 2007;156:492-8.
3) Loden M, et al. Acta Derm Venereol 2002;82:45-7.
4) Ademola J, et al. Am J Clin Dermatol 2002;3:217-22.
5) ケラチナミンコーワ軟膏20%添付文書

ハンドクリーム問題は,主婦の会話の主要テーマの一つにもなっているとのことで,ご協力いただいた皆様からいろいろお話が聞けて楽しかったです。

以上,せっかく調べたデータなので書かせていただきましたが,夏井先生が維持管理して下さっている掲示板にも関わらず,夏井先生の説を批判するようなことを書いてしまって反省しています。よく考えてみたら,たかが尿素クリームごときにそんなに目くじら立てるようなことでもありませんでした。おか@在宅ラップ医先生や老健@看護師様にも不快な思いをさせてしまったかもしれません。以後こういう書込みはしないように気をつけます。申し訳ありませんでした。




[1267]いまさらイソジンシュガー 投稿者/zui 投稿日/2008年04月03日(木)

何をいまさら、と思われるかもしれませんが、当院ではまだ、形成外科外来で褥創にイソジンシュガーを使用されています。
油断していたら、わが消化器外科病棟の創感染患者に、「浸出が多く、ストマパックを貼るのが大変だから」という理由でWOCナースがイソジンシュガーを使用していました。それを本日知ってビックリ。浸出が多いのもデブリ不足が原因で主治医の管理不良だったのですが。
そんなに創部を乾かしたければ、いっそグラニュー糖まぶしなさい、と言いたくなります。 学生や研修医教育で一貫性を持たせなければならない立場なので、少なくとも科内での使用は控えさせようとしてますが、それにしても、なぜいまだにイソジンシュガー??? 以前のTerry先生の書き込みにある、ゲーベンも使い方次第という意見がイソジンシュガーにも当てはまるのでしょうか。
イソジンシュガーで傷がよくなった経験おありの方、管理が楽になった、でも何でも結構ですので教えてください。