(脂溶性物質)と界面活性剤の違い


 「油性マジックはワセリンでも落とせますが,これは合成界面活性剤もワセリンも同じ効果ということではないでしょうか? なぜワセリンが安全で,合成界面活性剤が危険といえるのでしょうか? おかしくありませんか?」というメールを時々頂きます。
 まさか,こんな基本的な知識の部分で混乱している人がいらっしゃるとは思いもよりませんでしたので,簡単な実験で両者の違いをビジュアル化してみます。

手背に油性マジックで落書き 右がワセリン(脂溶性物質)
左はハンドクリーム(界面活性剤)
10秒後に拭きとる。
ハンドクリームほどではないが,
ワセリンも油性マジックを落としている
その手を水で濡らしてみる。
ワセリンは水をはじくが(撥水性あり)
ハンドクリームは水をはじかない


 なぜ,ワセリンで手荒れが治り,ハンドクリームで手荒れが悪化するのかはこれで一目瞭然でしょう。

 ワセリンを手に塗ると油の皮膜ができて,乾燥を防ぎます。また,角質表面に油の皮膜ができるため,角質は本来の嫌気性状態に戻り,皮膚常在菌(=嫌気性菌)の生存に適した環境となり,皮膚は健康な状態になります。ワセリン(=鎖状飽和炭化水素)は皮脂とは成分が異なりますが,少なくとも,「角質内部を嫌気性状態に保つ」という皮脂本来の機能と同等に作用すると考えられ,嫌気性環境は破壊されません。

 しかし,ハンドクリームなどの合成界面活性剤を使うと,角質表面の皮脂は洗い落とされ,角質内部は空気に直接被曝するようになり,角質は嫌気性状態でなく好気性になります。その結果,角質は皮膚常在菌(=嫌気性菌)の生存に不適当なものになり,次第に雑菌(通過菌)が増え,皮膚は不健康になります。これが「手荒れ」です。つまり,手荒れの原因はハンドクリームです。
 「ハンドクリームを塗ると手がすべすべになり,手荒れが治る」と思い込んでいる人がいたら,それは化粧品メーカーのコマーシャルの嘘に騙されているだけです。ハンドクリームはたしかに塗っている時は「スベスベ」ですが,ハンドクリームを拭き取ると手は「カサついてガサガサ」になっているはずです。これがハンドクリームのトリックであり,化粧品メーカーのインチキの手口です。

 そして,この「ハンドクリームによる角質破壊」はハンドクリームに特有の性質でなく,合成界面活性剤を含むあらゆる工業製品(例:化粧品のほとんど全て,ボディーソープ,シャンプー,台所用洗剤,洗濯用洗剤)に共通した性質なのです。化粧品に含まれる合成界面活性剤がどれほど強力に角質を破壊するかを示すのが,この実験です

 このように,あらゆる化粧品は肌を破壊します。「毛穴が開く/肌がくすむ/小じわが多い/肌が荒れている/シミ・そばかす」が女性に特有の皮膚のトラブルで,男性に少ないのは,女性が化粧品を毎日使っているから,顔に合成界面活性剤を塗りたくっているからです。化学的・生物学的には,顔に化粧品のクリームを塗るのは,顔に台所用洗剤や換気扇用洗剤を塗りたくるのと同じです。

 顔に台所用洗剤を塗りたくって皮膚を荒らし,その荒れた肌を隠すために,さらに各種化粧品(=合成界面活性剤を含む=台所用洗剤と同じ)を塗っているのです。それを女性は「化粧をして美しくなった」と呼んで自己催眠をかけます。そして,「自分の肌がきれいでないのは,まだ化粧が足りないからだ。この化粧品が安物だからだ。もっと値段の高い化粧品を使えばきれいになる」と考え,更に厚く台所用洗剤同等の「皮膚破壊剤」を塗りたくるのです。

 おそらく,化粧品メーカーはこのような女性たちを「カモ」と考えているはずです。そして,「カモ」たちが,「自分はカモにされている」ことに永遠に気付かないだろうと自信を持っています。「女性は馬鹿だから」とナメきっているからです。

⇒Top Page