《ゴースト・ハンターズ》 (1986年,アメリカ)


 この映画はいいです。基本的にはお馬鹿映画ですが,お馬鹿のレベルがムチャクチャぶっ飛んでいます。馬鹿を通り越した大馬鹿なんで,清々しく感動的です。

 ストーリーはあってないようなものだし,いろんな登場人物がなんの説明もなしに出てくるし,至る所,「だから,なんでそうなるの?」と聞きたくなるような場面ばかりです。

 でもいいのです。この映画に限り,このような欠点は欠点でありません。無理を通せば道理が引っ込む,と言わんばかりで,ツッコミを入れる前に次の場面になっちゃって,しかも各場面の完成度が高いもんだから,ツッコミを入れるのが馬鹿馬鹿しくなっちゃいます。お馬鹿映画なのに細部にまで神経が行き届いていて,お馬鹿映画なのに手抜きがありません。その徹底ぶりが見ているものを感動させます。


 華麗なカンフーアクションが連続するかと思えば,ホラー映画なら主役級のおどろおどろしいモンスターみたいなのが登場するし,かと思うとインディ・ジョーンズばりの脱出シーンもあるし,男と男の友情みたいなのもあるし,ワンカットしか登場しないモンスターもいたりします。もう,おもちゃ箱をひっくり返したような面白さで,これはもう,映画の闇鍋状態としか表現する言葉がありません。

 しかも,登場する男女が少しずつ惹かれあっているのにラブシーンがない,という潔さというか,清々しさがいいです。そして,無駄に死ぬ人間がいないのもいいです。監督が登場人物の一人一人に愛情を注いでいる感じがわかります。


 一応,映画のストーリーをちょっと紹介。

 舞台は現代サンフランシスコのチャイナ・タウン。ここで食堂かなんかを経営する中国人青年と,その友人のアメリカ人のトラック運転手が主人公。この中国青年の婚約者が中国から来るってんで二人で空港に迎えに行くんだけど,なんでか彼女が中国人ギャング団に連れ去られちゃう。

 でもって,彼女をさらったギャング団を追ってチャイナタウンに向かうんだけど,そこではギャング同士の抗争の真っ最中。当然,華麗なカンフーファイト・シーンです。なんだこりゃ,と思っていると,突如,空から「嵐の三人組」という三人が降りてきて,超能力かなんかで一方の勢力を吹っ飛ばしちゃう。こいつらが一体何者か,一切説明ありませんが,圧倒的な存在感なんで気になりません。それにしても「嵐の三人組」というネーミングがナイスです。

 これだけでも十分にぶっ飛びモードなんだけど,さらに登場するボスキャラ,ロー・パンがすごいぞ。何しろこいつは,秦の始皇帝との闘いで敗れて地獄に封印された妖術師だぞ。こいつの霊かなんかがチャイナタウンを陰で操っていいるらしい。なんで,秦時代の妖術師が現代アメリカのチャイナタウンで蘇るかなんて,気にしちゃ駄目だよ。

 このロー・パンが現世に復活するためには,緑の瞳の女と結婚しないといけないんだけど,その緑の瞳を持っていたのが,冒頭の中国人の婚約者なんだ。純正中国人で緑の瞳か? なんてご都合主義の展開なんだ,なんて言っちゃ駄目だぞ。気にしない,気にしない。


 その後は,びっくり箱をひっくり返したようなカンフーアクション,超能力アクション,冒険アクション,怪物アクションと,何でもありだ。ありとあらゆる娯楽映画の要素をぶち込んで画面は大暴走! この暴走ぶりがすごいです。

 もう一回,見ようっと。

(2006/06/28)

 

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