病名のつけ方のコツ


 「新鮮外傷は消毒せずに被覆材」という原則,もう既にご理解いただけたと思いますが,保険請求上での病名にはちょっと工夫が必要です。

 よく「顔面挫傷」「上肢擦過傷」という病名で被覆材を使ったら保険審査で認められなかった,という連絡をいただきますが,この病名ではまず通りません。面倒でも「顔面外傷性皮膚欠損創」とか「左下腿皮膚欠損創」などのように「皮膚欠損」の病名を必ず入れてください。これで間違いなく保険が通ります。さらに完璧を期すのであれば「顔面皮膚欠損創(真皮に至る)でしょうね。

 ちなみに私の外来では「外傷性皮膚欠損」というゴム印を用意してカルテに押しています。


 「ホクロのくりぬき法への応用」の項でもちょっと書きましたが,この治療に被覆材を使うのであれば(術中の止血用のアルギン酸,その後の被覆用にハイドロコロイド),手術当日でなく翌日に「顔面皮膚欠損創(真皮に至る)」の病名を追加し,この日から使った分を請求した方が問題が生じないようです。

 爪甲抜去後の被覆材の使用も極めて効果的ですが,この場合も,「爪甲剥離」などの病名とともに「左第1趾皮膚欠損創」などの病名も追加しておいたほうが安全です。

 指の外傷で,創縁が挫滅されたり皮膚が欠損していて,完全に縫合できない場合,アルギン酸で被覆する良い適応ですが,この場合も,「皮膚欠損創」の病名を併記してください。


 いずれにしても,創傷被覆材の使用には「褥瘡」あるいは「外傷性皮膚欠損創」などの病名は必須とお考え下さい。

 また,被覆材は連続2週間しか使用が認められていませんが,その解決法についてはメールでお問い合わせ下さい。

(2002/05/21)

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