褥瘡対策未実施減算の新設


 先日発行された日本医事新報 No.4058 (2002年2月2日)の「医科診療報酬主要改定項目 T(案)」の中に,「褥瘡対策未実施減算の新設」という項目がありました。要するに,下記に挙げられた要件を全て満たしていない場合,褥瘡処置の処置料(?)が少なく算定される,というものです。
 これを書いている2002年2月22日現在,一日あたり何点減算されるかは明らかになっていませんが,その項目を見ていると,「全て」をクリアするには早めに対策を取っておいたほうがよさそうです。以下,その要件を書き写します。

  1. 当該保険医療機関において,褥瘡対策に専任の医師,看護婦からなる対策チーム(以下,対策チーム)が設置されていること。
  2. 当該医療機関における全入院患者について,入院時,および必要に応じて,日常生活の自立度を判定した上,褥瘡の発生の危険を有する状態にある入院患者について,褥瘡対策に関する診療計画を作成し実施すること
  3. 対策チームは各病棟における褥瘡対策の実施状況を把握し,適切な対策が実施されるよう指導を行うこと。
  4. 患者の状態に応じて,褥瘡対策に必要な体圧分散式マットレス等を適切に選択肢,使用する体制が整えられていること。

 どうです? 結構大変でしょう?


  1. これは病院全体の褥瘡治療,管理を統括して行う責任者を置け,ということでしょう。設置しろといわれても,褥瘡の専門的知識を持っている人がいない場合は,急いでスタッフを養成しなければいけません。
  2. これは恐らく,ブレーデン・スケールなどを使って,入院患者の状態を分析し,褥瘡発生の危険性がある患者をピックアップしろ,ということのようです。
  3. 「定期的に」というのがどのくらいの期間を想定しているのか不明です。「年2回程度を目安にして」ならいいのですが「月1回程度が目安」だったら,すごく大変になりそう。
  4. これは圧切り替え型,あるいは静止圧型のエアマットレスを使うようにということですね。エアマットレスのメーカーは大喜びでしょう。

まぁ,逆に考えると,きちんと褥瘡の管理をしている病院は正当に評価するよ,というシステムですから,「褥瘡患者が出たら専門的知識を有する特定の医者・看護婦が診察し,治療方針を決定する」という体制をとっている病院にとっては,ほとんど楽勝でしょう。


 ここから宣伝モードに入りますが,「山形創傷ケア研究会」では山形県内の病院から連絡をいただければ,「正しい褥瘡治療」につき,出張講演をすることを計画しています。何とかしなければいけないなぁ,とお考えの病院は,私宛までご連絡ください。


 尚,これに関連して,クラレメディカル(株)より褥瘡経過評価表,診療計画書等をご提供いただきました。Microsoft Word 97用のファイルになっていて,パソコンで直接書き込み,印刷ができるようになっていますので,下記よりご自由にダウンロード,ご利用ください。

(2002/04/11)

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