爪が剥がれた!


 爪甲剥脱,つまり俗に言う「爪が剥がれた」状態である。経験者はご存知と思うが,非常に痛い。しかも,ただでさえ痛いのに,病院で治療を受けると,これがまた輪をかけて痛い
 消毒されると飛び上がるほど痛いし,爪が剥がれたところ(爪床)にソフラチュールガーゼ(網目状になっているやつね)を当てられて次の日の診察でこれを剥がされると,拷問のように痛い。

 しかし,実はこの「爪が剥がれた」時に創傷被覆材による密封療法を行うと,全く痛くなく,極めて早期に治癒する。患者さんいわく,「どれほど痛いかと思って覚悟してきたら,全然痛くないんで拍子抜けした」だそうだ。


 論より証拠,実例を示そう。これは70歳男性,自宅で敷居に躓いて転倒したもの。直ちに当科を受診している(なお,本来の写真はもっと鮮明なのだが,非同業者以外にはちょっとショッキングかと思われるため,サムネイル程度の大きさに縮小してある)

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  1. 受傷時の状態。いかにも痛々しい。
  2. 血液などを拭き取った後,直ちにアルギン酸塩で被覆し,フィルムドレッシングで密封。
  3. 翌日の状態。出血は完全に止まっている。この状態で微温湯(水道水)で創部を含め足浴させたが,疼痛は全くなし
  4. 3日目からポリウレタンでの被覆に切り替えた。ドレッシングはこれのみのため,普通の靴が履けるようになった。もちろん,入浴する際は足も一緒に洗わせた。疼痛は全くなし。
  5. 受傷後7日目の状態。浸出液はほとんどなくなってきた。
  6. 14日目でドレッシングも不要となった。このまま直に靴下を履き,普通の靴を履いて生活。


 これまで「爪を剥がした」ことがある人にとっては,ほとんど信じられないことだろうと思う。3日でお風呂に入れ,普通の靴が履け,痛みが全くなく,2週間で治療終了なのだから・・・。

 同様に,剣道の練習中に爪を剥がしてきた中学2年生の女子生徒がいたが,同じ治療をしたところ全く痛くないため,3日目から剣道の練習を再開し,体育の授業も休まず受けていたという。
 また,3日目からポリウレタンを使っているが,この被覆材の高い吸水能のおかげで,少々の浸出液,出血があっても靴下が汚れるようなことはなかったという。

(2001/11/20)

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