山の頂上だけにいてはその山がどれだけ高いのかはわからない。
他の低い山と比べる,ふもとから自力で登らない限りその高さが実感できない。
Chopin,Liszt,Debussyはピアノの最高峰であり独立峰だ。
しかしだからこそ,彼らの作品しか知らなければ彼らの作品がどれほど凄いのかはわからない。
ChopinやLisztはどんな先輩作曲家に影響を受けたのか?
同時代のライバルたちはどんな曲を書いていたのか?
ライバルたちが忘れられ,ChopinやLisztの作品が残っているのはなぜなのか?
彼らでなくChopinやLisztが選ばれたのはなぜなのか?
その答えは,ChopinやLisztの先輩やライバルたちの楽譜を見ればわかる。
またこれらの「忘れられた楽譜たち」は
発明されたばかりの未熟な楽器が
最初どのように弾かれ,
楽器としての可能性がどのような経緯で開拓され,
演奏技法がどのように考案され,
そして発展してきたのかを今に伝えるものだ。