白血球減少症,あるいはステロイドで治療中の易感染性患者では細菌の侵入が重篤な感染を起こす。これはまぎれもない事実である。しかし「細菌の侵入は防がなくてはいけない→消毒しよう」と短絡的に考えてはいけない。
これはカテーテル処置に限らず,全ての消毒がらみの処置に共通している事実であり,安易な消毒がかえって感染しやすい状態をもたらす可能性があることを銘記すべきであろう。
無菌の組織に通じている人工物があって,それが皮膚(=細菌が常在している)を貫いている場合,その人工物による感染を完全に防ぐ方法はありえないと思う。これはどんなに強固で完璧な防犯システムを備えている建物でも,侵入者を未来永劫に防ぐことができないのと同じことである。この例に当てはめると消毒とは「防犯システム」の破壊活動にほかならないのである。
(2003/10/16)