創面麻酔としてのキシロカインゼリーとキシロカインスプレー


【目 的】
 砂などが付着した擦過創をブラッシングする際,患者が幼児だったり,受傷面積が広い場合にはキシロカインゼリーを塗布してラップで密封し5分程度置くと無痛になることを経験的に知っているが,本当にどの程度の鎮痛効果が得られるのか,キシロカインスプレーではどうなのかを調べるため,自分の上腕で実験した。


【Material and Method】
 自分の左上腕屈側に荷造り用テープ(いわゆるガムテープ)を50回ほど「張っては剥がす」行為を繰り返して角層を破壊し,ここにキシロカインゼリーを塗布してパーミロール(接着剤つきフィルム)で密封した。密封1分後,3分後,5分後に26G針でPin Prick Testを行って痛みの程度を調べた。
 また,キシロカインスプレーでも同様の実験を行った。


【結 果】


【考 察】
 創面にキシロカインゼリーを塗布してフィルムで5分密封すれば,針でチクチクしても痛みがないことを確認した。これなら歯ブラシでブラッシングしても楽勝という感じであり,土や砂で汚れた擦過創,挫創のブラッシングの麻酔はこれで十分と実感した。

 逆に,キシロカインスプレーの直接撒布は拷問級の痛みだった。浸透圧が高いための痛みなのだろうか。とにかく,創面に直接スプレーを塗布は絶対にしてはいけない行為だと確信した。
 ただし,キシロカインゼリーを塗布してしばらく経過した後にスプレーをするのは痛くないし,鎮痛効果はゼリー単独より強いことを確認したので,ゼリー塗布でまだ痛がる場合には速やかにスプレー撒布をすべきであろう。速やかに強い鎮痛効果が得られる。

 とはいっても,これらはあくまでも「創面の麻酔」に限った話であり,健常皮膚にいくらゼリーを塗布してもスプレーを散布しても全く鎮痛効果はなく,「キシロカインゼリーを塗布して創縫合」できるわけでないことは注意して欲しい。縫合するのであれば,キシロカインの局所注射が必要だ。

(2008/06/19)

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