皮膚科治療の常識・非常識


【ある外用剤が効かないなら別の外用剤に変えてみる】
 私は皮膚科医でも皮膚疾患の専門家でもなんでもないが,外来には「複数の皮膚科で診てもらったが治らない皮膚疾患(慢性湿疹,痒み,アトピー性皮膚炎,主婦手湿疹)」という患者さんが毎日のように受診されている。そういう患者さんから前医で処方された薬の処方歴を見せてもらうと「外用剤から外用剤へ」の連続(例:弱いステロイド外用剤から強いステロイド外用剤へ,それが効かないからもっと強いステロイド外用剤へ・・・)であったり,あるいは,同じ薬剤のものでも油脂性外用剤からクリーム性外用剤の薬への切り替えというパターンばかりだった。

 しかし,ここで絶対にないのは「外用剤以外の治療法を考える」というパターンである。例えば私なら,碌に外用剤についての知識がないため,「外用剤が効かないなら被覆材やプラスモイストでも張ってみようかな」と考えるが,皮膚科医は頑張って(?)外用剤で治そうとするようだ。だから,ステロイドの強さを変え,基剤を変えたりしているのだろう。

 だが,その結果として「外用剤で治らない皮膚疾患の患者さん」は私の外来に逃げて(?)くることになる。患者さんが来てくれるのだから,当方としては助けてもらっているようなものなので私としては構わないのだが,これってもしかしたら「皮膚科医なら外用剤で治せ。外用剤で治すのが皮膚科医としての矜持だ」という呪縛に陥っているのではないかという気がするのだ。

(2011/07/20)

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