61歳男性。
 糖尿病,糖尿病性腎不全で平成22年から人工透析中。その後,糖尿病の治療は受けておらず,最近,自宅近くのクリニックで内服薬の治療を開始した。12月16日に右第1趾から排膿があり,18日に〇〇大学△△病院皮膚科を紹介され,同院整形外科に回された。同院整形外科では糖尿病性壊疽と診断し,切断しなければ敗血症を起こすと説明。空きベッドがなかったため,当院整形外科に手術目的で紹介。同科より当科紹介となった。紹介状には「糖尿病性壊疽で切断が必要」と明記されていた。
 初診時,右第1趾の爪外側縁の横から少量の排膿があり,鑷子で探ると深さは8ミリほど。骨に触れた。炎症症状は認めなかった。
 これは骨髄炎でも糖尿病性壊疽でもないと診断。爪床の外側部分が瘢痕組織か角質と思われる組織であることから,角質(あるいは瘢痕)内の膿瘍と判断し,ナイロン糸ドレナージを行った。1週間で瘻孔は閉鎖した。
 その後も時々,同様の排膿があったが,その都度ナイロン糸ドレナージを行い,事なきを得ている。

2013年12月19日 ドレナージ 12月26日 2014年1月21日


 「排膿があって骨が触れるから骨髄炎」も噴飯物診断だが,この足を見て「糖尿病性壊疽だ」と診断する整形外科医って,本当に医者なんだろうか。もしかしたら,これまで本当の糖尿病性壊疽を見たことがないんじゃないだろうか。この症例を糖尿病性壊疽というのは,馬を見て鹿だというのと同じである。

 しかもこの医者は,他の医者の紹介状で「診断名:糖尿病性壊疽」と書いているのである。馬に鹿という名前を付けちゃって,しかもそれを他の医者に教えてしまったわけだ。

 おまけに「切断が必要」と判断しているのだ。アホじゃないかと思う。多分この医者はこれまで,切らなくていい医者を切断してきたんでしょう。これでも「大学病院の先生」である。

 この患者さんはたまたまベッドの空きがなくて本当に命拾いしたと思うし,本人も「もしもベッドが空いていたらと思うとゾッとします」と話しておられた。。

【アドレス:http://www.wound-treatment.jp/next/case/hikari/case/634/index.htm】

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