4歳10ヶ月女児。京都府在住。
 10月13日,自宅階段で転倒し,左前額部に裂傷受傷。直ちに〇〇病院救急室を受診し,縫合が必要と言われたが,自分が以前縫合された傷跡のようになっては困ると思い,待合室でネット検索して湿潤治療を知り,縫合を拒否。当直医には「縫合しないで帰るのであれば、児童虐待として保健所に通報する」と脅された。帰宅後,創面はラップを当てておいた。
 15日,縫合しない治療を求めて当科を受診。ズイコウパッド(R)で被覆し,処置方法について説明し,大阪の郡田先生への紹介状を持たせて帰宅していただいた。
 以後,郡田先生から経過写真を定期的に送っていただいた。

10月15日 10月19日
10月26日 11月2日


 10月15日ではテーピングなどで創縁を寄せることはせず,ズイコウパッドで覆っておくのみにしています。肉芽は収縮することを知っているからです。もちろん,この症例でも3ミリほどのwidening scarになっていますが,出発地点からみると,これで十分じゃないかと思います。
 もしもこのお子さんが思春期になって「額の傷が気になる」と言い出したら,その時こそ形成外科医の出番です。技術の限りを尽くして修正手術をしましょう。そのために存在するのが形成外科です。

 受傷直後にこの傷を縫合しようとしたら,全身麻酔が必要になり,それなりにリスクもあります。一方,思春期以降の修正手術は局所麻酔で治療できます。私の子供や孫なら「思春期以後の修正」をしますね。

【アドレス:http://www.wound-treatment.jp/next/case/hikari/case/573/index.htm】

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