2歳9ヶ月男児。
 10月13日,熱海の祖母の家でお茶を腹部にこぼし,熱傷受傷。〇〇病院救急室を受診して軟膏で治療。直ちに両親はネットで熱傷治療について検索し,近くの薬局でハイドロコロイド被覆材を購入してガーゼを剥がしてハイドロコロイドを貼っておいた。更にネットで調べ,当科を受診。
 当科でも,ハイドロコロイド被覆材で治療。

10月15日 10月17日 10月21日


 最近,このご両親のように「医者の治療を鵜呑みにせず,ネットで可能な限り治療について調べ,最も納得の行く治療を選択する」という医療素人が増えていることを実感している。その結果,熱傷治療に限れば,医者よりも的確な治療をする素人が増えている。

 しかも,これらの人は事前に湿潤治療について知っていたわけではない。ほとんどの人が「ネットで調べて初めて消毒してはいけない・乾燥させてはいけないことを知った」と話されているからだ。つまり,スマホが手元にあってGoogleアプリの使い方さえ知っていればそれで十分なのだ。
 これは,一般向けの湿潤治療の講演会も不要なら,治療についてのマスコミの啓蒙記事も不要,ということを意味している。

 逆に言えば,スマホもパソコンも持っていない,ネット検索どころかネット接続も知らない,という人は,医者の間違った治療を唯々諾々と受け入れるしかない,ということだろう。いくら新聞で「傷の最新の治療」について読んだ記憶があっても,その治療をしてもらえる病院はネットでしか探せないからだ。

【アドレス:http://www.wound-treatment.jp/next/case/hikari/case/566/index.htm】

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