21歳F
 2022年4月、〇〇病院形成外科で右小指の先天性屈指症で右第3趾から関節移植術を受けた。2023年3月に右第3趾偽関節の手術を受けたが、術後、傷が開いて感染し骨髄炎となった。骨セメント移植後にiSAP療法(intra-Soft tissue Antibiotics Perfusion)を受けたが感染は収まらなかった。2024年5月、腸骨移植術を受けたが、8月に再感染。11月、第3趾切断術となった。術後、手術創が感染して瘻孔ができた。その後、第2趾中足骨にも骨髄炎を起こしていると説明されたが、主治医から「もうこれ以上治療法はない。傷を治す方法はない。これだけ治療をして治らないのはあなたの体が異常だからだ。諦めなさい」と説明され、抗生剤のみ投与され、以後数カ月間、同じ抗生剤を飲み続けている。現在、右小指は手術前より動かなくなり日常生活では使っていない。何のために手術を受けたのかわからない。手術を受けなければよかったと後悔している。ネットで病院検索。また、中国の大学(母親は中国人)に進学したが、もうこれ以上は休学できない。
 2025年2月28日、当院受診。左足背に骨に達する瘻孔を認めた。ドレナージの原理について説明し、ドレナージができていれば感染は自然に収まることを説明。ナイロン糸ドレーンの原理とナイロン糸の挿入・固定法について指導。すぐに中国に戻りたいとのことだったので、何かあったら連絡するように説明。

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 なんとも悲劇的というか気の毒な症例です。
 まず、屈指症に対する足趾からの関節移植術についてですが、手術成績はそれほど良くない治療だと思います。少なくとも私は、「手術を受けたら指が普通に動くようになった」という症例に出会ったことはありません。この症例のように「術前よりむしろ動かなくなった」という例が少なくないような印象が・・・。
 この症例の主治医の最大のミスは「第3趾の偽関節」に対して手術をしましょう、という判断でしょう。多くの偽関節は他の趾とテーピング固定することで日常的に生活できることが多いと思います。また、この部位の術後骨髄炎の治療も判断ミスだと思います。骨移植しちゃダメでしょう。


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