75歳女性。
 1年前より糖尿病を指摘され,内服治療中。以前からASO疑いの足趾潰瘍で〇〇医院で内服薬治療を受けていたが。6月24日に突然左第5趾が腫れたため,当院心臓外科に紹介となった。足趾壊死の治療について当科紹介。
 初診時は「穴あきポリ袋+紙おむつ」による治療(勝手に鳥谷部先生のサイトにリンク)で覆うのみとし,1週間後(7月8日)に壊死組織が融解してきたので融解している部分のみ無麻酔で切除した。その1週間後,中節骨が有利してきたためこれを切除した。
 以後は,「穴あきポリ袋+紙おむつ」でのドレッシングを続け,創部は閉鎖した。それ以後,足趾壊死は発生していない。

7月1日  
  
7月8日    7月16日 中節骨が
浮いてきた
無麻酔で切除
7月19日 7月30日 8月20日 9月18日
10月22日  


 このようなASOがらみの足趾壊死のコツは「無麻酔でデブリ」に尽きる。局所麻酔をして壊死組織の切除をすると,それが刺激になるのか,翌日見ると,更に近位にまで壊死が進行することが非常に多いと思う。過去,どれほど痛い目にあったかわからない。それ以来,デブリは無麻酔で行っている。

 とは言っても,患者に痛い思いをさせているわけではない。壊死組織を湿潤に保つと次第に融解してきて軟化してくるが,この「軟らかく溶けている」部分だけをハサミで切除すれば痛みもないし,出血もない。コツは「壊死組織を近位に残しながら,壊死組織の中を切り進む」ことだ。壊死組織を完全に取ろうとすると,知覚がある部分(=壊死していない部分)まで切り込んでしまい,痛いし出血する。

【アドレス:http://www.wound-treatment.jp/next/case/hikari/case/417/index.htm】

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