73歳女。
2000年頃から糖尿病の指摘を受け治療開始。8年前に糖尿病性壊疽で左下腿切断。2015年9月11日,〇〇病院で糖尿病性壊疽で右母指切断。その後,△△病院創傷センターを受診し,追加手術を受ける。2016年3月31日に同科が閉鎖されたため,当科紹介となる。
2016年5月26日,当科受診。潰瘍はなく,経過観察となった。
2017年2月ころから第1趾断端に潰瘍を生じ,3月初旬から急激に壊疽となった。直ちに心臓血管外科にコンサルトしたが動脈の閉塞はなく,糖尿病内科からも糖尿病の状態に変化はない,との返事を頂いた。
その後も,壊死は進行し,3月30日に下腿切断のため当院整形外科に入院。私も下腿切断は回避できないと考えていたが,患者さんと家族から「既に左足は切断しているので,右足も切断となっては生活できない。何とか,踵だけでも残せないか」という強い希望があり,4月10日に当科に再度コンサルトを受ける。
「壊死組織の徹底切除,腐骨の切除を行ってみるが,それでもダメなら切断」と説明し,デブリードマンを開始。創部はズイコウパッドで被覆。なぜかこの時から壊死の進行はストップ。やがて肉芽が上がってきて,創面はきれいになり,整形外科の先生はレントゲン写真を見て「麻酔もしないでここまで徹底的に腐骨がなくなるとは!」と驚嘆。その後は順調に創収縮した。
【アドレス:http://www.wound-treatment.jp/next/case/hikari/case/2524/index.htm】