53歳女。
 10月20日,飼い猫に左手を噛まれ,痛みが強くなったため,その日の夜に当院ERを受診。炎症症状が乏しかったため,創洗浄と抗生剤点滴のみ行い帰宅した。一時,痛みは和らいだが,翌朝,痛みがさらに増強したため当科を受診。
 手背中央と示指MP関節背側に咬創があり,咬創を中心とした発赤を認め,著明な圧痛がった。直ちに局所麻酔下にナイロン糸ドレナージを行い,プラスモイストで被覆。翌朝には痛みは全くなくなった。


 脂肪層に達する動物咬傷は炎症症状の有無にかかわらず,初診時にナイロン糸ドレナージした方がいい。きちんとしたドレナージができていて,翌日,感染症状がある例はほとんど無いからだ。また,きちんとドレナージするためには創の深さを正確に把握する必要があり,その意味でも局所麻酔を行ってから創の深さを診察すべきだろう。
 逆に,ドレナージせずに抗生剤投与のみを行った症例では,ほぼ全例で感染が起きている。

 脂肪層に達しない真皮内にとどまっている咬傷の場合は,抗生剤内服とプラスモイストの被覆のみでよい。

【アドレス:http://www.wound-treatment.jp/next/case/hikari/case/1217/index.htm】

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