46歳男性
 2月8日,調理中の鍋をひっくり返して左腕と左大腿に熱傷受傷。2月10日,自宅近くの〇〇皮膚科クリニックを受診し,ゲーベンクリームで治療。以後,2週間通院しているが治らない。知人から当科を勧められた。
 当科では「穴あきポリ袋+紙おむつ」(勝手に鳥谷部先生のサイトにリンク)で治療。

【左前腕背側】

2月25日 3月26日 4月23日 5月21日

【左大腿内側】

2月25日 3月5日 3月19日
4月23日 Pentax Optio WG-3で撮影 5月21日  
6月17日


 熱傷治療の教科書には「真皮全層が損傷されて失われた熱傷が3度熱傷である」,「受傷後,2週間で上皮化しない熱傷は3度熱傷であり,皮膚移植しなければ治らない」と明記されていると思う。しかし,この症例を見ると,それが嘘であることが分かる。
 受傷から1ヶ月半の3月19日では3度熱傷のように見えるが,2ヶ月半後の4月23日には毛孔から上皮再生が認められるからだ。つまりこれは2度熱傷である。
 世間では,昔ながらの間違った診断基準で皮膚移植をする医者を「熱傷専門医」と呼んでいる。