79歳女性。神奈川県在住。7年前より認知症。
 6月末より右膝の腫脹があり,医師に往診してもらい穿刺していたが収まらず,7月上旬から抗生剤内服開始。7月23日に膿瘍が自壊して膿が出てきたため,〇〇病院を受診。△△病院整形外科を紹介されて翌日,受診。切開し大量の排膿があった。以後,同科に外来通院をしているが,26日に創部から骨が露出した。それを見た整形外科医は「大腿部で切断しなければ骨髄炎を起こし,敗血症になって命が危ない。直ちに入院して切断しましょう」と説明。
 家族はこの説明に納得できず,ネットで骨髄炎について検索し,本サイトを発見。メールで相談の上,7月31日に当科を受診。
 当科では次のように説明。

  1. これは単なる骨皮質の露出である。
  2. 骨皮質が露出して骨髄炎になるわけがない。整形外科医の説明は解剖学の基礎を知らない素人的説明である。
  3. これだけ口が大きく開いていれば感染することはない。膿が外に出てくるからだ。むしろ,傷が治らないほうが安全である。
  4. 傷口が小さくなってくると中に細菌が取り残されて化膿することがあるが,この時には入り口を切開すればいい。
  5. 万一,感染したとしても抗生剤内服で治療できる。
  6. 創部の被覆は「穴あきポリ袋+紙おむつ」(勝手に鳥谷部先生のサイトにリンク)で良い。
  7. 神奈川県の自宅から通えるクリニックでも湿潤治療を行っているので,そちらに紹介。
 

7月31日 拡大