0歳10ヶ月女児。
 11月27日,加湿器の蒸気で右手にヤケド。直ちに〇〇医療センター救急室を受診し,ラップとワセリンによる湿潤治療で治療してくれた。その後,同院形成外科に紹介されたが,湿潤治療ではダメだと言われ,ゲーベンクリームの治療に変更となった。しかし,救急外来の処置の際は泣かなかったのに形成外科の軟膏治療になった途端に泣きだして嫌がったため,この治療では駄目だと両親が判断し,ネットを見て当科を受診。
 当科では,1歳未満の手掌・指熱傷の過去の治療例の写真を見せて,下記のように説明した。

  1. 1歳6ヶ月未満の場合には,湿潤治療をしても瘢痕拘縮(指の伸展障害)が発生する
  2. 拘縮の程度にもよるが,上皮化が完了してから数ヶ月〜数年で指を伸ばす手術が必要になる
  3. その手術はZ形成がメインとなり,必要であれば皮膚移植も行う。
  4. しかし,この場合の皮膚移植の面積は通常1〜2センチ程度と小さい。
  5. 皮膚移植をしても指の伸展障害は必発で,結局その修正手術が必要になる。湿潤治療のメリットは全身麻酔の手術の回数を一回減らせ,採取皮膚の面積を最小限にできることにある。
  6. 手術は大学病院の形成外科で行うが,手術をきちんとしてあれば,術後に消毒されても害はなく,創面の乾燥も気にする必要はない。
 
 その上で,ミトン型プラスモイストで被覆し,処置方法を指導した。
 20日ほどで上皮化が得られたが,環指と小指に瘢痕拘縮を生じ,患者の自宅近くの病院形成外科に紹介した。

2012年12月6日 ドレッシング 12月11日

12月14日 12月19日 12月25日

12月28日 2013年1月4日

1月25日 2月21日


【アドレス:http://www.wound-treatment.jp/next/case/tokyo/case/0160/index.htm】

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