65歳男性。
 ベッドの柵で右第1趾を強打し,痛みが取れないため,翌日当科受診。爪甲が浮いていたため,局所麻酔下に抜爪を行った。抜爪後,出血がわずかだったため,プラスモイスト(R)で被覆した。

5月29日 爪甲抜去後 ドレッシング 5月30日

6月4日 6月7日 6月11日 6月19日

 抜爪後はこんな感じで治っていく。
 6月11日頃,浸出液はなくなり上皮化が完了しているが,爪床表面を覆っているのは爪甲ではなく角化上皮である。6月19日頃になると,爪半月のあたりが新しい爪と置き換わり始め,あと1ヶ月半くらいで新しい爪甲が先端まで伸びるはずだ。

 この症例のように打撲後に爪が白濁している場合,爪床から爪甲が完全に剥がれて浮いていることを示す所見だ。
 爪床から爪甲が剥がれて浮いてしまった場合の治療だが,私は抜爪をまず考える。理由は次の通り。

  1. 浮いた爪甲と爪床の間に浸出液がたまり,それを感染源として感染が起こることが多い。
  2. 感染を起こさなくても,新しく延びてきた爪の邪魔をしてトラブルが起こることが稀ならずある。
  3. 既に浮いているので足趾の保護に役立たない。
  4. 不意に躓いたりすると浮いている爪甲が一気に剥がれ,かなり痛い。
  5. 抜爪後にきちんと湿潤治療すれば,痛みはほとんどない。むしろ,抜爪することで普通に歩けるようになる。

【アドレス:http://www.wound-treatment.jp/next/case/tokyo/case/0010/index.htm】

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